MISC

2018年

地理歴史科教員や教員養成課程の学生のためのGIS実習用教材の開発

日本地理学会発表要旨集
  • 山内 啓之
  • ,
  • 小口 高
  • ,
  • 早川 裕弌
  • ,
  • 小倉 拓郎
  • ,
  • 羽田 康孝
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  • 宋 佳麗

2018
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記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
公益社団法人 日本地理学会

1990年代から現在にかけて、高等学校の地理教育の充実を目的に、GISやGISで作成した地図を授業へ導入するための検討や取り組みやが行われてきた。GISを活用した授業の実践事例は年々増加しており、それらは学会発表や学術論文などを通じて数多く報告されている。また、2022年に高等学校の教育課程において新設される「地理総合」や「地理探求」でも、GISが地図とともに生徒の地理的な見方や考え方を育成するためツールとして位置づけられており、GISへの期待度が高いことがうかがえる。一方で、高校の地理教育においてGISを活用できる人材が不足していることや、大学の教員養成課程においてGISの授業の質と量が十分でないことが指摘されており、現役の教員のGIS活用力の育成の支援や、教員養成課程のGIS教育の充実等が求められている。<br><br>そこで、演者らは高校の地理を担当する教員や大学の教員養成課程の授業を対象としたGISの実習用教材の整備と、それを効果的に教えるためのカリキュラム案について検討を行った。本研究によって開発する教材は、演者らが大学のGIS教育の充実を目的として整備した、GIS実習オープン教材を活用したものである。GIS実習オープン教材は、誰もが自由に無償で利用できるようにGitHubを用いてオンラインで公開している。利用者がページにアクセスすると、コース別に用意された教材の学習項目、実習例、学習順、課題等が表示される。今回新たに整備した教材は、GIS実習オープン教材を援用することにより、学習順で示される項目をクリックすると、その項目と対応する内容の教材が表示されるようになっている。一方で、PCの操作や、オンライン教材の扱いに慣れていない利用者がいることも想定されるため、学習項目と対応する一連の操作を動画としてまとめた教材も整備し、YouTubeを利用して公開を行った。利用者は、テキストを読み込みながら学習を進める形式と、動画を用いて必要な部分のみを短時間で学習する形式を選定して実習することができる。<br><br>学習項目は、実習の順番を定めたカリキュラム案として整備した。本カリキュラム案は、第1回~第15回分の授業で構成される。第1回では、GIS操作入門、データの解説、地図のレイアウトといった基礎的な内容を扱う。第2回以降は、教員養成系の大学ではGISの授業にさける時間が限られてしまうことや、自主学習の時間を確保しづらい教員もいることから、それぞれが2~3回分の授業で完結するような短期間で学べるものとし、学習の状況に応じて組み合わせて利用できるようにした。<br><br>学習する内容は、高等学校の地理の授業でのGISの活用や、GISで作成した地図を用いて授業を行うことを想定し、いくつかのテーマをもつ学習コースとして区分した。本研究によって整備したコースは、GISの基本概念とQGIS入門、日本や世界の統計データの可視化、地形と土地利用のオーバーレイ分析、衛星画像を用いた環境変化の可視化、身近な地域のフィールドワークのためのGIS活用とデータ取得、防災教育で利用できる簡易Web地図の作成の6つである。<br><br>今後は、本教材を用いた教員や大学生向けのGIS講習会の開催や、現役教員を対象としたアンケート調査等を行い、より多くの高校教員や教員志望の学生が利用しやすい教材になるように改良を重ねる予定である。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007539838
ID情報
  • CiNii Articles ID : 130007539838
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000399241335

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