共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

RSウイルスはなぜ夏に流行るようになったか?温暖化とウイルス変異の多角的解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K10043
体系的課題番号
JP18K10043
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

平成30年度は、本邦の11県(北海道、青森、新潟、東京、三重、滋賀、奈良、香川、山口、熊本、沖縄)の臨床医に協力を得て、 RS ウイルス感染症疑いの小児242例から検体を採取した。 リアルタイム PCR で合計203例から RS ウイルスを検出した。ウイルスの型別を行ったところ43例が A型 、149 例は B 型 RS ウィルスであり、B 型 RS ウイルスが優勢であった。地域別でみても、すべての地域でB 型 が優勢であった 。前の年は A型 RS ウィルスが優勢だったため交代現象が起きたと考えられる。国の感染症サーベイランスによると、平成30年は9月が流行のピークであり、我々の調査で検出したRSV-Bウイルスも9月にピークを迎えており国の感染症サーベイランスの結果と一致していた。沖縄は、その他の地域と季節性が異なっており5~7月に流行ピークを迎えていた。
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平成30年10月には日本ウイルス学会でRSウイルスの遺伝子解析に関する発表を行った。BEASTという系統地理学ソフトを使い 、過去5年間我々の調査で蓄積されたRS ウィルスのG遺伝子シークエンスを用いて、遺伝子型による国内の伝播様式の差違について解析した 。結果は、ON1と言う2010年に見つかった新しい遺伝子型は、地理的な拡散伝播の速度がNA1やB型のウイルスより速いことが判明した。
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また、平成30年度はこれまで約5年間にわたり蓄積された RS ウィルス患者の臨床データの解析に着手した。約300例の外来受診した RS ウイルス患者の経過について臨床症状とウイルス量の推移をあわせて解析している。外来での RS ウィルスの臨床経過やウイルス量についての解析は少ないため貴重な結果になると思われる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K10043
ID情報
  • 課題番号 : 18K10043
  • 体系的課題番号 : JP18K10043