MISC

2018年

モンゴル・ハンガイ山脈周辺域における湧水の地下水年代

水文・水資源学会研究発表会要旨集
  • 檜山 哲哉
  • ,
  • DASHTSEREN Avirmed
  • ,
  • 浅井 和由
  • ,
  • 金森 大成
  • ,
  • 飯島 慈裕
  • ,
  • 石川 守

31
開始ページ
184
終了ページ
184
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11520/jshwr.31.0_184
出版者・発行元
水文・水資源学会

北ユーラシア永久凍土南限域における凍土融解の状況を把握するために、モンゴル・ハンガイ山脈周辺域に点在する湧水を、2015年8月から2018年4月にかけて不定期に採取し、その地下水年代を推定した。水試料を名古屋大学で前処理した後、(株)地球科学研究所でトリチウム濃度とCFCs(CFC-12, CFC-11, CFC-113)濃度を定量した。その結果、ハンガイ山脈の北麓と南麓に点在するサーモカルストで得られた湧水のトリチウム濃度とCFCs濃度は非常に低く、地下氷の融解水を主な起源とする湧水であることがわかった。特に、サーモカルスト域の湧水は、年々CFCs濃度が低くなっていることがわかった。一方、サーモカルストに付随しない湧水のトリチウム濃度とCFCs濃度は比較的高く、近年の降水により涵養された比較的若い湧水であることがわかった。大気水収支解析からは、ハンガイ山脈の夏季(6~8月)の正味降水量はほぼゼロであり、夏季においては地下水涵養量が無いため、この地域では主に夏季以外の降雨・降雪によって地下水が涵養されるものと推測できる。このような水文気候条件下において湧水の地下水年代が多様であることは、温帯や熱帯には見られない、凍土帯特有の地下水流動があることを示唆している。また、凍土に地下氷が多く存在するサーモカルスト域においては、地球温暖化によって湧水中に地下氷融解水がかなり多く混入していることを示唆している。今後、地下水流動系と地下氷存在量に関する現地調査を行うことで、この地域の地下氷融解速度を定量する必要がある。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11520/jshwr.31.0_184
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007554059
ID情報
  • DOI : 10.11520/jshwr.31.0_184
  • CiNii Articles ID : 130007554059

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