2004年10月
チェルノブイリ事故起因の溶存態放射性核種と表面水中コロイドとの結合
Applied Geochemistry
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 19
- 号
- 10
- 開始ページ
- 1581
- 終了ページ
- 1599
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1016/j.apgeochem.2004.02.002
溶存有機物(腐植物質)濃度の高いチェルノブイリ事故地域の河川水・湖沼水において、$^{90}$Sr, $^{239,240}$Pu, $^{241}$Amと水中のコロイドとの結びつきを実験的に研究した。「限外ろ過」とよばれる手法でコロイドサイズの浮遊粒子を分別して、核種分析を行った。この結果、60-80\%の$^{239,240}$Pu, $^{241}$Amは分子量相当サイズ10000daltonを超えるコロイド成分に偏在する一方、$^{90}$Srは1000dalton以下の成分にその90\%以上が見いだされた。コロイド成分の元素分析,有機炭素分析,分光特性分析の結果は、Pu, Amと結びついている大きな分子量サイズのコロイドが、腐植物質であることを強く示唆している。一般に、腐植物質に含まれるフェノール基等と放射性核種が錯体をつくることが知られている。この錯体形成反応をモデル化した計算を行った結果、チェルノブイリ地域で見いだされた上記の実験結果を説明することができた。また、腐植物質の濃度が低い国内河川環境でも溶存するPu, Amの多くは腐植物質と結びついた状態となることが推定された。以上の結果、腐植物質を主成分とする有機物コロイドが表面水系におけるアクチニドの存在形態を定めるという役割を一般的に有することが明らかとなった。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.1016/j.apgeochem.2004.02.002
- ISSN : 0883-2927