助産師による乳頭ケアの課題を克服できる新たな乳頭ケア用品を探求するにあたり、「医者いらず」と注目されてきたアロエに本研究では着眼した。アロエ成分が乳頭の伸展性や乳頭の皮膚組織の保水力、美白性にどのような効果・作用をもたらすのかについて、滋賀医科大学産学連携事業の一貫として基礎研究に取り組んだ。(滋賀医科大学臨床看護学講座母性・助産学領域産学連携研究事業)平成28年10月〜12月に、健康な成人女性14名を対象に前向きデザインによる同一被検者への比較対照試験を行った。クリーム塗布前の乳頭・乳輪部周辺の水分量、伸展性、カラースケールを測定し、アロエ成分が配合されているクリームを右乳頭に、配合されていないクリームを左乳頭に塗布するケアを行った。2時間後と6週間後に乳頭・乳輪部周辺の水分量、伸展性、カラースケールを再度測定し評価を行った。その結果、アロエ成分が含まれている乳頭・乳輪部の保水性・伸展性・美白性を高めることが示され、乳頭トラブルの原因でもある伸展性の欠如を改善し、女性としてのボディーイメージの低下の要因となる乳輪部のリビド着色の退色に効果が期待できることが明らかとなった。そして、アロエ成分の効果をエビデンスとして乳頭ケア用品として求められるべきものであることが確認できたこと、乳頭ケア用品の開発に向けて新たな見解が示された。(著者抄録)