共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

インプラント周囲炎治療を可能とする光応答性ナノカーボンインプラントの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K10025
体系的課題番号
JP20K10025
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究の目的は,カーボンナノ物質の光線力学作用を用いて,近赤外光を照射した際に抗菌作用を発揮させ,インプラント周囲炎に応用することである.本年度は,さらに高い殺菌効果を得るため,光増感剤をカーボンナノホーン(CNHs)に修飾し,その効果を検証した.
π拡張型ポルフィリン分子(rTPA)は700nm近傍の光を高い効率で吸収し,約50%の高い量子収率で一重項酸素を発生させる.このrTPAをアミノ化したCNHsとの間でアミド結合形成し,rTPA-CNHを得た.CNH-rTPAの熱重量分析を行ったところ,CNH-rTPA中のCNHとrTPAの割合がおよそ1:1であることが示唆された.CNH-rTPAの吸収スペクトルを測定したところ,可視光領域から近赤外光領域に渡るCNHの特徴的な吸収と,仕込み量の比率に比例した712nm近傍に特徴的なrTPAの吸収帯が観測された.次に,一重項酸素発生能を評価したところ,CNHs:rTPA=1:1のものが一番大きな一重項酸素産生能を示したため,以後の実験ではこの条件で作成したCNH-rTPAを用いた.また,rTPAはPBSなどの高いイオン濃度溶液中に単独で存在すると凝集形成し一重項酸素が抑制されるところ,CNHと複合化することで十分な一重項酸素発生能を保持することも明らかとなった.
Streptococcus mutans,Aggregatibacter actinomycetemcomitanceの分散液にrTPA-CNHを添加して10分間730nmの光を照射したところ,どちらの菌も半分以上の菌数減少がみられた.また,細胞毒性を調べるために,線維芽細胞の培養実験を行った.細胞播種4時間後にCNH-rTPAを添加し,10分間光照射した結果,CNH-rTPA添加および光照射による細胞数の減少はみられなかった.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K10025
ID情報
  • 課題番号 : 20K10025
  • 体系的課題番号 : JP20K10025