論文

2018年7月

熱帯熱マラリアと卵形マラリアの混合感染をきたしたギニア人女児例

小児感染免疫
  • 木下 彩希
  • ,
  • 相澤 悠太
  • ,
  • 荒木 孝太郎
  • ,
  • 新井 真衣
  • ,
  • 堀越 裕歩

30
2
開始ページ
139
終了ページ
144
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本小児感染症学会

マラリアは、熱帯・亜熱帯地域のアフリカ、アジア、南米などを中心にみられる蚊媒介感染症である。特に熱帯熱マラリアは重症化すると致死的となる可能性があり、かつ有効な治療薬があるため、渡航者発熱では必ず鑑別疾患にあげて除外する必要がある。今回、熱帯熱マラリアと卵形マラリアの稀な混合感染の症例を経験した。症例は4歳女児、発熱、嘔吐、下痢が16日間遷延し前医外来で経過観察されていた。渡航歴聴取を契機にマラリア感染が疑われ当院に転院となった。両親は西アフリカのギニア国籍で6年前に来日し、児は日本で出生した。入院3ヵ月前にギニアに渡航し、滞在中マラリアに感染し治療されていた。迅速検査、血液ギムザ染色の結果から熱帯熱マラリアと診断し、アトバコン・プログアニルの内服を行った。さらに血液スメアで卵形マラリアを疑う原虫が観察され、血液PCRも陽性であり、卵形マラリアの混合感染が判明した。卵形マラリアの肝内休眠体に対してプリマキンによる追加内服治療を行った。マラリアは症状が非特異的であり、診断には詳細な渡航歴の聴取が重要である。また肝内休眠体への治療は異なるので注意が必要である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0917-4931
  • 医中誌Web ID : 2018339078

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