共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2024年3月

雲・エアロゾルを介した中緯度大気海洋相互作用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
19H05699
体系的課題番号
JP19H05699
配分額
(総額)
191,100,000円
(直接経費)
147,000,000円
(間接経費)
44,100,000円

本計画研究の目的は、西部北太平洋などの下層雲の変動を、海表面温度(SST)を含む気象場および海洋からのエアロゾル供給などの観点から、他の海域の下層雲との対比を含めて明らかにすることである。
観測研究では、2022年夏の航空機観測・船舶観測で用いるためのエアロゾル観測装置を開発・整備した。特に自己参照干渉法を用いた複素散乱振幅測定法(SPES法)の理論的枠組みの一般化に成功するなどの成果が得られた。また海洋地球研究船「みらい」にて2021年2-3月に西部北太平洋におけるエアロゾル微物理パラメータと海塩由来塩素の同時計測を実施した。現在までに得られた洋上・離島での観測値を解析し、アジア 太平洋地域の データ整理に着手した。
数値モデル研究では、海上下層雲と気候モデルにおけるそのパラメタリゼーションについて、専門外の研究者・学生のために基礎知識をレビュー論文としてわかりやすくまとめた。下層雲が亜熱帯高気圧にどのように影響するかを調査し、従来言われてきた下層雲の雲頂冷却が亜熱帯高気圧を強化するという説は、最新のモデルでは支持されないことを示した。気象庁の現業で使用される予定の次期季節予報モデルにおける層積雲スキームの改良により、海面水温と下向き短波放射の関係(フィードバック)が大きく改善されることを示した。また数値気候モデルMIROCにおいて、サブ格子スケールの雲の変動を考慮した補正を降雨過程に導入し、その放射影響を評価した。その結果、世界のモデルに共通する系統誤差の一部を軽減することができた。さらに、全球気候-エアロゾルモデルCAM-ATRASを用いて、東アジア域における人為起源エアロゾルとその放出量の近年(2008年から2016年までの変化)および将来(2030年と2050年まで)の変化が、北太平洋域の雲の放射収支に大きな影響を及ぼすことを示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-19H05699
ID情報
  • 課題番号 : 19H05699
  • 体系的課題番号 : JP19H05699