2017年11月
観測行列のサイズに着目した固有値分解と微分方程式の差分方程式近似に基づくDOSYのための高速行列分解アルゴリズム
分析化学
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- 巻
- 66
- 号
- 10
- 開始ページ
- 735
- 終了ページ
- 744
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.2116/bunsekikagaku.66.735
- 出版者・発行元
- 日本分析化学会
本論文は分子の自己拡散係数推定を用いたスペクトル分離に有効とされているDiffusion Ordered NMR Spectroscopy(DOSY)に関する議論を行っている.DOSYにおける観測信号は行列の形式で与えられ,自己拡散係数の推定とスペクトル分離は行列分解問題として定式化される.この行列分解問題を効率的に解くアルゴリズムの一つに初期値を必要とせず行列演算から直接的に分解を行うDirect Exponential Curve Resolution Algorithm(DECRA)がある.DECRAでは観測信号の部分行列の特異値分解を用いて行列分解問題を解く.しかしながら,特異値分解には多くの計算時間を要するため,観測信号の行列のサイズが増大する高分解能を要求される解析では計算時間の増加が問題となる.この計算時間の問題に対して,本論文では観測信号の行列のサイズに着目した高速な行列分解手法を提案している.提案法では測定時間の制約から観測信号の行列が横長となることを利用して,観測信号の行列から構成されるより小さな行列の固有値分解をもとに推定を行っている.これにより,DECRAと同程度の精度を維持しつつより短時間での分離を可能としている.また,計算機シミュレーションと実データ解析により提案法の有効性を示している.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2116/bunsekikagaku.66.735
- ISSN : 0525-1931
- CiNii Articles ID : 130006194942
- CiNii Books ID : AN00222633