共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

バシェ音響彫刻の多面的活用のためのアーカイブと持続的保存方法の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K00211
体系的課題番号
JP20K00211
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

2021年度においては、現在東京芸術大学取手校地に保管されている残存部材のの採寸調査と、3DCADデータ化を進めた。また、修復された「勝原フォーン」の継続的かつ作品負担の少ない活用に向けて、組立て指示書と演奏者に向けた演奏ガイドの動画を作成した。これらを、木枠梱包状態の「勝原フォーン」の部品と共に、「再演ー指示とその手順ー」展(東京芸術大学大学美術館2021/8/31~9/26)にて展示し、芸術作品の再現・再演の諸問題の中で、バシェ作品が孕む活用についての問題意識を広く問うことができた。年度末に開催した研究会では、バシェ作品の継承をテーマとして、分担研究者の平諭一郎氏、岡田加津子氏(京都市立芸術大学教授)、永田砂知子氏(バシェ協会会長)、川崎義博氏(京都市立芸術大学客員研究員)から発表が行われ、仁科エミ氏(放送大学教授)、原久子氏(大阪電気通信大学教授)、柿沼敏江氏(京都市立芸術大学名誉教授)、中川克史氏(横浜国立大学准教授)のほか、多彩な研究者や関係者らと意見交換を行うことができた。この場で特に共有されたのは、バシェ作品の保存管理の特殊性であった。従来の美術館による収蔵、保存、管理システムでは、演奏による活用の側面には対応できず、積極的な活用は、管理、保存、修復を包括した専門的な担当者のもとで行われるべきである。1970年の大阪万博のレガシーでもあるバシェ作品という芸術資源を、より多くの人に「開き」、継承していくためには、既存の方法に囚われない特有の方法を導き出す必要があることが研究会の中では共有された。また、バシェ作品についての問題は、多様化する芸術資源をいかに継承してくかという、現代の共通の課題でもあると認識された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K00211
ID情報
  • 課題番号 : 20K00211
  • 体系的課題番号 : JP20K00211

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

  1