研究ブログ

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年末年始のご挨拶

今日は私の仕事納めです。

2023年も大変お世話になりました。

今年は積み残してしまった仕事が多いように感じます。

2024年はやるべきことを誠実にやりつつ、かつやりたいこともしっかりやる年にしたいです。

2024年もよろしくお願いいたします。

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EUの反威圧手段(Anti-Coercion Instrument (ACI))の発効

このブログでも何度か取り上げたEUのAnti-Coercion Instrument (ACI)が2023年12月27日付で発効しました。

第一義的にはEU又はEU加盟国に対する第三国の経済的威圧を抑制(deter)することを目的としていますが、最終的な手段としてEUが経済的威圧に対抗(counteract)することも認めています。後者については、WTO協定上及び一般国際法上の位置づけが問題となります。

ACI上の経済的威圧の定義は広く、一般国際法上の不干渉義務に違反する措置以外も含むことも注目されます。

経済的威圧とそれに対する対応の国際法上の評価については、来年某所で発表させていただく予定です。

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日本経済新聞「経済教室」に寄稿しました

日本経済新聞「経済教室」に寄稿しました。

WTO紛争処理改革を中心に、2024年2月のWTO閣僚会議に向けた課題について論じています。

今年9月の国際法学会で報告させていただいた際に言及した自説をこっそり?忍ばせています。

よろしければご覧ください。

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CPTPP(TPP11)投資章に基づく初めての仲裁申し立て

2013年12月15日、カナダの年金基金大手ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)がCPTPPに基づく投資仲裁を申し立てました(ICSID ARB/23/53)。ただ、紛争当事者間の合意により、手続は中断しているようです。

本件は、CPTPP投資章に基づく投資仲裁として明らかになった初めての事例です。

IA Reporterによれば、CDPQはメキシコの再生可能可能事業(Tnedora)に投資をしており、2021年のメキシコの電力産業法の改正に関連して申し立てられたようです。

電力産業法の改正をめぐっては、USMCAに基づき米国カナダがそれぞれ国家間紛争処理章に基づく協議を要請しています。

なお、CDPQは、2022年10月、日本の再生可能エネルギー企業自然電力と最大700億円の投資で合意したことが報じられています

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CPTPP投資章をめぐっては、カナダのAlmaden Minerals社Almadex Minerals社がメキシコに協議要請をしたことも分かっています。本件は、両社のIxtaca金・銀プロジェクトの鉱業権取消しをめぐる紛争です。2022年2月、メキシコ最高裁が、先住民コミュニティの手続的権利侵害を理由に鉱業権の取り消しを命じたことをうけ、鉱業権が取り消されています。

現時点ではまだ協議段階で、仲裁手続は開始されていません。

なお、USMCAは、1994年1月1日から2020年7月1日までに設立または取得された投資(いわゆるレガシー投資)について、投資家対国家の紛争処理(ISDS)に付託することを認めていましたが、NAFTA終了の3年以内(2023年7月1日)までに行わなければならないと定めています(NAFTAのもとでは90日前のnotice of intent提出が求められることから実質的には2023年4月1日が期限)。

レガシー条項の適用の終了により、今後CPTPPに基づく申し立てが増えるかもしれません。

 

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Seoul Digital Trade Law and Policy Expert Roundtableに参加しました

ソウルで開催されたSeoul Digital Trade Law and Policy Expert Roundtableに参加させていただきました。

以前書かせていただいた"Are Digital Trade Disputes “Trade Disputes”?"というbook chapterをご覧になった主催者の方がお声をかけてくださり、デジタル貿易紛争処理についてお話させていただきました。

デジタル貿易紛争処理、というのはあまりなじみのないテーマですが、JSI交渉、CPTPP、RCEP、DEPAではそれぞれデジタル貿易に関する紛争処理のあり方に相違(変化)があり、その意義を考えるとなかなか興味深いです。発表では、デジタル貿易協定は従来の貿易協定と「原則と例外」の構造が異なること、安全保障と密接な関係があることなどから、ハードな紛争処理手続が必ずしも適切ではないというようなお話をさせていただきました。

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ASPIプログラムBuilding Trade Ties with Japan’s Emerging Female Leadersの案内

Asia Society Policy Institute (ASPI)のWendy Cutler氏から、貿易分野で活躍する日本人若手女性を対象としたリーダーシップ・プログラムBuilding Trade Ties with Japan’s Emerging Female Leadersのご案内をいただきました。

とても魅力的なプログラムで私自身が参加したいところですが、残念ながら自称若手の参加は認められないようです・・・。

正真正銘の若手女性の方はぜひご応募ください。

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CIBEL Global Network Conference 2023でeconomic coercionについてお話させていただきます

2023年11月21日~23日まで開催されるCIBEL Global Network Conference 2023において、"How to Define and Respond to Economic Coercion"とのタイトルで報告させていただきます。

economic coercionの定義の問題と国際法上許容される対応についてお話しできればと思っています。

オンライン実施ですのでよろしければご参加ください。

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2023 Taipei International Conference on Arbitration and Mediationにてお話させていただきました

Taiwan Arbitration Weekの企画として開催された2023 Taipei International Conference on Arbitration and Mediation: International Dispute Resolution and Development: The Technological and Economic Perspectivesにおいてお話させていただきました。

私はjudicial deferenceについて貿易投資紛争処理の比較検討を行うという従来の研究関心に沿った発表をさせていただいたのですが、会議の多くは仲裁におけるAIの活用の可能性(是非)についての発表・議論で、なかなか興味深かったです。

現時点では仲裁手続の「補佐」として利用するのがせいぜいのようですが、将来的には「AI仲裁人」も現れる、かも???

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社会科学部同窓会で中国水産物規制についてお話させていただきました

早稲田大学社会科学部同窓会にて、「中国との貿易関係とWTO:日本産水産物輸入停止にどう対応すべきか」との題目でお話させていただきました。

講演では、中国の日本産水産物輸入停止措置のSPS協定適合性を検討したうえで、WTO紛争処理への申立ては1つの選択肢として有効であること、ただし「勝つ」(違反認定を得る)ことではなく申し立てることで紛争解決を促すことを目的とすべきこと、「経済的威圧」の法的位置づけや可能な対応を検討する必要はあるものの実際に「経済的威圧」を認定することには慎重であるべきことなどについてお話させていただきました。

参加者の方の中には北海道や東北ご出身の方もいらっしゃり、興味深いお話を伺う機会となりました。

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SIEL (Society of International Economic Law)が理事等の立候補者募集中です

SIEL (Society of International Economic Law)が理事(Executive Council members)などの立候補者を募集しています。

立候補者が多数の場合は、今年12月に行われるSIEL総会の選挙によって選ばれます。

理事になると、SIELの様々な活動に主体的に参加できますし、国際学会の運営を知るという点でもいい経験になると思います。理事の中から希望又は依頼によって追加的な役職が回ってくることもありますが、理事の仕事自体はそれほど大きな負担になるものではないと思います。

特に、国際的に活動されている(又は活動したい)若手(自称若手も含む)の方にぜひ立候補していただきたいです。現在の理事は30代40代の研究者が中心です。日本からは今は私(自称若手?)がCo-Secretaryという役職についてますが、日本人が1人しか理事になれないということはありませんので、その点の心配はありません。ただし立候補はSIEL会員限定です。

立候補する場合は指定のフォームを提出してください。現時点では10月22日が締め切りとなっています。

質問等あれば私でよければどうぞお問い合わせください。

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