2018年10月 - 2023年3月
インフレーション探索に向けた半波長板変調式超電導転移端偏光計望遠鏡の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
CMBの偏光観測はインフレーション由来の原始重力波が生み出すBモード偏光パターンに対して感度を持つ。現在、その発見に向けて世界的に熾烈な競争が行われている。特に、衛星による観測は大気の影響がなく、また全天観測が広帯域にて可能であり、実験感度 r~0.001にて代表的なsingle-field slow-rollインレフーションモデルの検証が期待されている。しかし、衛星観測のための観測機器として鍵となる偏光変調器と焦点面超電導遷移端検出器アレイを組み合わせた開発は世界的に未開拓である。 本提案にて米国およびフランスとの共同研究により、衛星を目的とした焦点面超電導遷移端検出器アレイ、高精度偏光特性検証試験、飛翔体観測の知見を取り込むことで、世界に先駆け変調式超電導転移端偏光計望遠鏡の開発を行い、インフレーション仮説の検証を目的としたCMB偏光観測衛星実験の実現性を示す。研究実績の概要として超電導遷移端検出器のモデリング及び単一素子として直流SQUIDを用いた検出器試験環境の構築及び検出器性能評価試験、そしてシステム試験のための設計を行った。超電導遷移端検出器を100mKに冷却し、電流バイアスを変化させることにより検出器の応答性を確認することにより、検出器の時定数を実測した。検出器モデルを構築し、試験結果との整合性を確認した。この成果はイタリアミラノ にて開催された国際学会Low Temperature Detectorにて報告した。また、フランスとの共同研究の発展から、飛翔体観測である気球実験PILOTに参加した。これは遠赤外波長にてダストの偏光観測を行う実験である。偏光変調器と極低温検出器を採用しており、本研究にて開発想定している気球観測システムに類似する。カナダより放球し24時間の飛翔観測に参加し、リアルタイムデータモニターを担当した。現在、データ解析に参加している。
- ID情報
-
- 課題番号 : 18KK0083
- 体系的課題番号 : JP18KK0083