共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

都市近郊における散策路事業の成立構造・計画思潮の変遷と縮退時代における活用可能性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K11844
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究課題は、1)「散策路事業」の通史研究、2)特定地域における「散策路事業」の事例研究、3)「暮らし体験型散策路」の計画提案・実践・評価の3点を目的に掲げている。2018年度は、2)および3)に取り組んだ。
2)では、戦前期から現代まで継承されている東京西郊多摩地域を通過する野猿峠コース(約13km)を対象として、その開発・活用の歴史的変遷を明らかにした。1930年代余暇活動が制限されるなか貴重なレクリエーション機会として注目した東京市や、旅客獲得に期待する鉄道会社(京王)により散策路が整備された。一方、これは東京緑地計画による景園地(東京府南多摩景園地)の利用策という側面もあった。戦後、野猿峠コース周辺は東京都により公園指定を受けるとともに、首都圏近郊緑地保全法に基づき、保全区域に指定され、都市近郊の手軽な日帰り観光として人気を博した。その後、70年代になると大規模住宅団地の開発が進み、コースは一部分断されてしまう。しかし、東京都が公園や動物園として整備を進めたことによりコースの大半は保全される。90年代以降、歴史文化や都市近郊の里山の価値が評価されるなかで、東京都は「かたらいの道」として当該コースを設定し整備を進めた。加えて、地元自治体や観光協会も案内板の設置やマップの発行によりその活用を促進している。このように、余暇活動や健康増進などの市民のライフスタイルのなかから生み出される要因と、郊外・行楽地開発や自然・文化資源の保全活用等の地域側が期待する環境形成に資する要因双方のバランスによって開発や活用が行われてきたことを明らかにした。
3)では、大学の演習課題を経て提案された散策路の提案(アウトレットモール来訪者に周辺のニュータウン・里山を周遊してもらうためのテーマ・コースの提案)を受けて、アウトレットモール運営会社と産学連携の体制を組み、協働で企画を実践する計画を進めた。

ID情報
  • 課題番号 : 18K11844

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  2