2020年4月 - 2025年3月
温泉事業と共生する地熱資源利用の手続統合型持続可能性アセスメントの実装展開研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究は、我が国で導入の期待が高い地熱開発について、最大の開発障壁となっている温泉事業者との合意形成に着目し、この課題克服に応用可能な、科学的な影響評価と地域的な合意形成の統合的ツールの開発を目指すものである。我が国の地熱開発において、社会的合意形成に基づいた開発と持続可能な資源利用を可能にする「手続統合型SA」のあり方を提案していくことを目指している。本研究は①令和2年度:対象地の選定及び関係の構築、②令和3-4年度:アクションリサーチの実施と効果検証、③令和5-6年度:手続統合型SAの政策ツールの提案の3段階で展開することを想定してきた。 これまでの研究については、社会的受容性の向上に関する既存研究から、経済的側面の情報提供を行う地域付加価値分析(Regional Value-added Analysis以下、RVA)の手法と、開発事業における社会影響評価(Social Impact Assessment以下、SIA)の手法を併用する、順応的RVA(以下、A-RVA)プロセスモデルを提案し、九州の研究対象地における地熱開発のステークホルダーへ同プロセスモデルを提示することでヒアリング調査を行った。さらに、令和3年度には、同様に地熱ポテンシャルの想定される北海道の研究対象地を追加することで、本研究の提案する政策ツールが持つ有効性や課題について、異なる社会条件においてその検証を目指してきた。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置にともない、想定していた社会実験の実施が難しくなる場合が考えられ、研究手順の一部を見直す必要に迫られた。現在は、これまでに現地調査を行った2地域において、それぞれの調査結果を反映したより具体的なプロセスモデルを構築し、繰り返し現地担当者と協議を重ねることで、その効果検証を行う予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K12306
- 体系的課題番号 : JP20K12306