2017年4月 - 2022年3月
新段階の情報化社会における私法上の権利保護のあり方
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
展開応用期の1年目にあたる令和元年度は、全体研究会の開催および共同研究者各自による研究遂行を通じて、応用研究に向けた検討を進めた。個別の研究課題については、次のとおりである。
第1に、個人情報の収集・利活用に関する私法的規律との関連では、肖像の商業的利用のための取引の法的構造をめぐって民法および知的財産法の両面から分析を深め、純粋の個人情報の取得・収集とその利用の場面への応用を試みた。また、「忘れられる権利」についても、比較法的観点から改めて検討対象とした。第2に、AIの投入に対応した責任原理との関連では、自動運転車による事故の責任規律に関する分析を継続したほか、機械装置全般の自動運転に伴う事故やロボット事故による民事責任につき、瑕疵責任・危険責任論を基礎に置いた立法論的提言を試みた。また、AIの誤判断をめぐる専門家責任の在り方についても、診療過程へのAIの投入場面を素材とする検討がされた。第3に、ネットワーク関連被害に対する救済法理との関連では、営業の間接的侵害に関する比較法的研究を手がかりに、依存関係を理由とする責任限定という新たな理論構想が試された。
以上のほか、本年度は、私法学の研究手法に関して、複数のメンバーが法の経済分析を具体的課題に応用し、あるいは法学方法論それ自体の研究を進めたことが、特筆される。また、行政法学の観点から、組織・手続による知識生成という新たな視角も提示された。
さらに、外国の法状況の調査・分析に関しては、前年度に引き続き、ヨーロッパ諸国で在外研究中のメンバーが滞在国の不法行為法の研究に取り組んだ。また、研究成果の国際的な発信も活発に行っており、日本法の現代的トピックに関して英語・ドイツ語による研究論文・著書が多数公表された。
第1に、個人情報の収集・利活用に関する私法的規律との関連では、肖像の商業的利用のための取引の法的構造をめぐって民法および知的財産法の両面から分析を深め、純粋の個人情報の取得・収集とその利用の場面への応用を試みた。また、「忘れられる権利」についても、比較法的観点から改めて検討対象とした。第2に、AIの投入に対応した責任原理との関連では、自動運転車による事故の責任規律に関する分析を継続したほか、機械装置全般の自動運転に伴う事故やロボット事故による民事責任につき、瑕疵責任・危険責任論を基礎に置いた立法論的提言を試みた。また、AIの誤判断をめぐる専門家責任の在り方についても、診療過程へのAIの投入場面を素材とする検討がされた。第3に、ネットワーク関連被害に対する救済法理との関連では、営業の間接的侵害に関する比較法的研究を手がかりに、依存関係を理由とする責任限定という新たな理論構想が試された。
以上のほか、本年度は、私法学の研究手法に関して、複数のメンバーが法の経済分析を具体的課題に応用し、あるいは法学方法論それ自体の研究を進めたことが、特筆される。また、行政法学の観点から、組織・手続による知識生成という新たな視角も提示された。
さらに、外国の法状況の調査・分析に関しては、前年度に引き続き、ヨーロッパ諸国で在外研究中のメンバーが滞在国の不法行為法の研究に取り組んだ。また、研究成果の国際的な発信も活発に行っており、日本法の現代的トピックに関して英語・ドイツ語による研究論文・著書が多数公表された。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H00961
- 体系的課題番号 : JP17H00961
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
浅田和茂・井田良・白取祐司・長井圓・丸山雅夫・吉田敏雄編『刑事法学の系譜』 703-730 2022年1月
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山本敬三・中川丈久編『法解釈の方法論』 365-385 2021年3月 招待有り
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法学教室 (453) 31-35 2018年6月 招待有り
書籍等出版物
1-
有斐閣 2021年3月 (ISBN: 9784641126145)