共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

戦後日本の「悪書追放運動」をめぐる比較メディア史的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K01851
体系的課題番号
JP21K01851
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

今日、メディア技術の著しい進展にともない技術導入の是非や、その「有害」性に警鐘を鳴らす論調が目立つ。全国各地では今なお戦後から続く「有害図書類」を巡る規制や回収運動が行われており、その実態把握と「有害」メディアを可視化する研究が求められる。そこで本研究は、戦後の「悪書追放運動」がいかに姿を変えながら継続されてきたのかを比較メディア史的に分析し、通史的体系化を行うことで、1945年から現在に至るメディア文化の「有害」性にかんする社会認識や人々の活動の変遷を解明することを目的とする。具体的には、戦後日本の“「悪書追放運動」を広義に捉え、同運動が戦後の国際的コンテクストとの影響関係のもといかにして遂行され、また現今の「有害環境浄化活動」(白ポスト運動)へと結びついてきたのか”を、研究の核心をなす学術的「問い」に設定した。
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2021年には各地の「有害環境浄化運動」がどのように実施され、「有害図書類」がいかに取り扱われているのかを、各都道府県の教育委員会の協力のもと、「白ポスト」の設置場所調査(撮影、マップ化)、白ポスト運用実態にかんするフィールドワークを通じて明らかにすることを試みた。
当該年度には、東京都狛江市、三鷹市、福岡県(飯塚市ほか)での白ポスト調査を実施し、現地での設置状況の確認、運用状況について聞き取り調査などを実施した。成果物については、白ポストの歴史的変遷について論じた論文「「白ポスト」はいかに“使われた”か? 1960-70 年代の悪書追放運動におけるモノの位相」を日本マス・コミュニケーション研究(100号)に投稿し、2022年2月に査読論文として公開された。現在、白ポストについては局所的言及以外に学術的論考はなく、設置場所についてもリスト化がなされていない。そのため本研究が遂行されることは学術研究上、重要な意義を持つと考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01851
ID情報
  • 課題番号 : 21K01851
  • 体系的課題番号 : JP21K01851

この研究課題の成果一覧

論文

  7

MISC

  4

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  7

社会貢献活動

  1