基本情報

所属
東京都立大学 大学院人文科学研究科 博士研究員
学位
博士(社会人類学)(2020年3月 首都大学東京)
修士(人間科学)(2015年3月 早稲田大学)

研究者番号
10885429
J-GLOBAL ID
202001016131114826
researchmap会員ID
R000004128

ID:9000359958796

 独立運動が根強いスペイン・カタルーニャ州の祭りでは、230年以上にわたって「人間の塔」と呼ばれる民俗芸能が見られます。現在、「人間の塔」で家計を支えている者はいませんが、その歴史においては、社会の最下層に位置する人々が、近隣の地域をまわり塔造りをすることで副収入を得てきたとされています。

 大勢の人々が密着することで塔の最下部を形成し、その中央で人が人の肩の上に上り下りすることで塔を造ります。私は「人間の塔」で最も伝統があるとされる最古参の集団において、2011年より実際の塔造りをともにすることで、身体と共同性、個と集団の関係性などについて調査してきました。

 グループ内では、日頃からメンバーの配置やどの塔を祭りで造るかをめぐり、言い争いや摩擦が絶えません。グループへの出入りも頻繁に見られます。大勢の人々が力をあわせて塔を造ることは、”「人間の塔」を造ることの社会的価値(コーディネーター発表)”で示されている「相互扶助」や「チームワーク」といった塔造りの美徳を体現するものです。

 しかし、その一方で、身体接触を伴うことが、私たちの人間関係を促進するかとの問いに「NO」と断言するメンバーもいます。

 私は、地縁と血縁を基盤とした集団での持続した関係性を支える知を明らかにするために、とりわけ、人間の物質的(生理的)側面に着目する一方で、カタルーニャの農村文化を形成してきたソシアビリテ(社交性)とアソシエ―ションにまつわる歴史研究にあたりつつ、世界史で特筆されるカタルーニャのアナキズムと「人間の塔」集団の関係性についても調査しています。

 孤独死や老老介護といった社会問題にみるように、世界的にみて超高齢化社会の先頭をいく私たちの社会において、どのような人間理解のありかたが求められていくのか、日本の中世民衆史に関する勉強も並行させながら考えています。


経歴

  18

論文

  10

MISC

  11

書籍等出版物

  9

講演・口頭発表等

  34

担当経験のある科目(授業)

  26

主要な所属学協会

  10

共同研究・競争的資金等の研究課題

  9

社会貢献活動

  2

その他

  3