2020年4月 - 2023年3月
小惑星表層熱物性の衝突進化に関する実験的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
今年度は、各種実験装置(弾丸加速ガスによるエジェクタ擾乱防止風防、レーザープロファイラー固定治具、熱カメラ校正用の黒体プレート)の設計・製作を行うとともに、円柱弾丸を用いた粉体標的への超高速度衝突実験を行い、弾丸アスペクト比が最終クレータ形状と熱物性変化に与える影響を調べた。本実験では、アスペクト比(円柱高さ/直径)を0.5-4と変化させたナイロン、アルミ、銅弾丸を粉体標的(硅砂5号、ガラスビーズFGB300)に衝突速度2.0-2.9km/sで垂直衝突させた。着弾時の弾丸姿勢は高速度カメラを用いた影写真法で撮影した。クレータ形成過程は上方から可視・近赤外高速度カメラで撮影し、衝突残留熱の冷却過程は熱カメラで計測した。最終クレータ形状はレーザープロファイラーを用いて計測した。その結果、最終クレータの平均直径は弾丸姿勢にあまり依存せず、同一衝突エネルギーでは硅砂よりもガラスビーズの方が大きいことがわかった。最終クレータのアスペクト比(深さ/直径)は、弾丸が棒形状・高密度・鉛直姿勢に近いほど大きく、衝撃計算コードiSALEによる予備実験と調和的であることがわかった。一方、リムの楕円率は弾丸が棒形状かつ水平姿勢に近い場合でも0.92以下であることがわかった。クレータ内の高温衝突生成物は、衝突速度が大きく、粉体粒径が小さいほど高温かつ多量である一方、粗粒標的では高温衝突生成物がクレータ壁の崩壊によって埋没し、クレータ地下から表面が過熱される様子が観察された。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K14545
- 体系的課題番号 : JP20K14545