2018年3月
茨城県県央・県北地域の呼吸障害による新生児搬送の現状と課題
茨城県立病院医学雑誌
- 巻
- 34
- 号
- 2
- 開始ページ
- 21
- 終了ページ
- 26
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 茨城県立病院医学雑誌編集委員会
【目的】茨城県県央・県北地域の呼吸障害例を対象に、当院の新生児搬送の現状を調査し、適切な搬送基準の検討を行った。【対象と方法】2014年1月から2016年12月までに県央・県北地域の産科施設で出生し、呼吸障害を主訴に当院新生児集中治療室へ搬送された症例とした。自治体救急車による搬送症例(自治体救急車群)と病院救急車による搬送症例(病院救急車群)に分け、依頼から診療開始までの時間を比較した。また、自治体救急車群のうち搬送後ただちに気管挿管した症例(挿管群)を気管挿管しなかった症例(非挿管群)と比較し、病院救急車による搬送基準を検討した。【結果】病院救急車群59例は自治体救急車群88例より診療開始が17分から44分(中央値)早かった。また、自治体救急車挿管群41例は、非挿管群47例と比較して、より早産・低体重であり、帝王切開の頻度と陥没呼吸を認めることが有意に多かった。また、呼吸障害を主訴とした症例のうちA.在胎38週未満の帝王切開例、またはB.(1)陥没呼吸、(2)呻吟、(3)吸入酸素濃度0.3以上の酸素投与のうち2つ以上を認める症例という搬送基準を設定すると、自治体救急車群のうち挿管群の71%を病院救急車で搬送できると考えられた。【結論】当院の病院救急車で新生児の迎え搬送を行うことで、より早期に治療を開始できていた。今後、今回作成した基準の有効性を検討する必要がある。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0912-9952
- 医中誌Web ID : 2018194235