共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

エンドソームとミトコンドリアの物理的相互作用と機能連関による細胞機能の調節機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H04016
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

昨年度に引き続き、低分子量Gタンパク質Rasと標的分子複合体のうち、Ras-PI3K複合体のみがエンドソーム移行する分子メカニズムの解明を目指し研究を行った。標的因子のRas-binding domain(RBD)のアミノ酸配列解析により、PI3K-RBDに存在する特徴的な配列を同定し、この配列を欠損させるとRas-PI3Kのエンドソーム局在が抑制されたことから、Ras-PI3K endosomal localization domain(RAPEL domain)と命名した。RAPEL過剰発現によりエンドサイトーシスが抑制され、エンドサイトーシスを介して細胞に侵入するインフルエンザウイルスの感染も抑制された。さらに、RAPELと細胞膜透過性ペプチド(cell penetrating peptide, CPP)との誘導ペプチドを合成した。ペプチドを導入した細胞にインフルエンザウイルスを暴露したところ、感染抑制効果が認められた。さらに、ペプチドによる感染抑制効果はヒト呼吸上皮細胞を用いたin situでも認められた。以上より、RAPELはペプチド療法にも応用可能であることが示された。これらの結果は、学術雑誌に受理された。
一方、上記の結果は、RAPELに結合する因子がRas-PI3K複合体のエンドソーム移行とエンドサイトーシスを制御することを示唆するものである。質量分析法と酵母ツーハイブリッド法によるスクリーニングで得られたRAPEL結合因子計50個のうち、6因子についての解析が進んでいる。うち3因子の解析が終了し論文を作成・投稿準備中である。因子Aについては新規のオルガネラ間相互作用を担うタンパク質であることが判明した。因子Bはイノシトールリン脂質依存的にRas-PI3Kのエンドソーム局在の制御因子であることを突き止めた。因子Cについては上記二つの負の制御因子であった。

ID情報
  • 課題番号 : 17H04016