恒松 雄太
基本情報
- 所属
- 名古屋大学 大学院生命農学研究科 准教授
- 学位
-
博士(薬科学)(2011年3月 京都大学)
- 研究者番号
- 30629697
- ORCID iD
https://orcid.org/0000-0001-6750-8034- J-GLOBAL ID
- 201701007788491277
- researchmap会員ID
- B000280435
- 外部リンク
個人HP: https://sites.google.com/view/yutatsunematsu/
学術変革B, 生物圏物質情報: https://sites.google.com/view/holobiont1/
研究業績の詳細: https://sweb.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kenji55-lab/Yuta/index.html
AIによる他己紹介(20260527):
恒松雄太博士は、有機化学、天然物化学、合成生物学、そして情報科学の交差点において、天然有機化合物の生合成経路の解明とそれを応用した創薬・機能分子創製を先導する研究者である 。2006年に名古屋大学理学部を卒業後、同大学院理学研究科にて上村大輔博士の指導のもと天然物化学の基礎を学び、2011年には京都大学大学院薬学研究科にて掛谷秀昭博士の指導のもとで博士(薬科学)の学位を取得した 。その後、静岡県立大学薬学部での特任助教、助教、講師を経て、ドイツのライプニッツ研究所(Hans Knöll Institute、Christian Hertweck教授のグループ)での博士研究員などを経験し、2022年4月より名古屋大学大学院生命農学研究科の准教授として独立した研究グループを主宰している 。
恒松博士の研究の根幹は、ゲノム情報(遺伝子)と化学構造(物質)をシームレスに結びつけ、自然界が創り出す複雑な化合物の生成メカニズムを分子・酵素レベルで紐解くことに留まらず、それを人工的に再設計・再構築(リエンジニアリング)して実用的な機能性分子を生み出す「合成生物学(Synthetic Biology)」の実践にある 。本報告書では、恒松博士がこれまでに挙げてきた多様な革新的研究成果を体系的に解説する。
アメーバ赤痢治療薬の開発に向けたケム・バイオハイブリッド合成
微生物や植物が産生する天然物は医薬品開発の優れたシード化合物となるが、構造が複雑で化学修飾が極めて困難であることや、生体内で速やかに代謝・分解されてしまう安定性の低さ、あるいは高い毒性といった課題から、臨床応用を断念せざるを得ない例が少なくなかった 。カビの一種が産生する天然物「オバリシン(ovalicin)」や「フマギリン(fumagillin)」は、細胞内の重要酵素であるメチオニンアミノペプチダーゼ2(MetAP2)に対して極めて強力な阻害活性を示すため、寄生虫である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)に対する治療薬候補として有望視されていた 。しかし、オバリシンは体内に投与されると肝臓の代謝酵素によって速やかに分解されてしまうため、薬効を維持できないという典型的な天然物創薬の壁に突き当たっていた 。
この課題に対して恒松博士らの多分野融合共同研究グループは、従来の半合成手法の限界を超えるアプローチとして「ケム・バイオハイブリッド合成」を確立した 。このアプローチでは、まず遺伝子を改変した組換え微生物(糸状菌 Aspergillus nidulans など)を用い、天然物の生合成経路を合成生物学的に再設計する 。これにより、本来の自然界には存在しない、後段の有機化学修飾に適した「ハンドル」となる特定の機能的な部分構造(二級水酸基など)があらかじめ組み込まれた「非天然型天然物」を、細胞工場内で直接かつ大量に生産させる 。こうして得られた中間体を回収したのち、有機化学合成を適用して特定の標的部位のみをピンポイントで修飾する 。これにより、天然物骨格が持つ「MetAP2を強力に阻害する」という優れたコア活性を完全に維持したまま、医薬品として必須である「体内での代謝安定性」や「宿主への安全性」といった薬物動態学的な性質のみを精密にチューニングすることに成功した 。
恒松博士らはこのプラットフォームを用いて約30種類のオバリシン/フマギリン誘導体を体系的に設計・合成した 。その過程において、糸状菌における異種発現系と代謝プロファイリング、さらに量子化学計算を統合することで、従来の天然フマギリン類には見られない、ねじれボート形配座に由来する 6-oxabicyclo[3.2.1]octane 骨格を有する極めてユニークな非カノニカル誘導体を同定した(BBB. 2025)。これらの誘導体から最適化された「YOK24」および「NS-181」は、ヒト肺細胞に対する毒性を極めて低く抑えつつ、赤痢アメーバに対して極めて選択的な抗アメーバ活性を発揮した 。この選択性の高さは、宿主であるヒトがMetAP1とMetAP2の両方を保持してこれらを同時に阻害されると致死(合成致死)となるのに対し、赤痢アメーバが生存のために「MetAP2のみ」に依存している特性を逆手に取ったものである 。
実際に、ハムスターの赤痢アメーバ性肝膿瘍モデルを用いた動物実験において、YOK24およびNS-181は皮下注射および経口投与の双方において高い治療効果を示し、肝臓の病変を完全に消失させることに成功した 。この多分野融合共同研究は、名古屋大学の恒松博士および住井裕司准教授、静岡県立大学の志津怜太准教授、東京大学の野崎智義教授らの強固な連携によって結実したものであり、2026年2月に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society (JACS)」に掲載された 。
遺伝毒性物質コリバクチンの化学分析と大腸がん先制医療技術
近年、ヒト腸内細菌叢の中に存在する特定の細菌群が産生する遺伝毒性物質(ジェノトキシン)が、宿主の大腸発がんリスクを直接的に高めていることが明らかになっている 。特に大腸がん患者から分離されるコリバクチン産生遺伝子(clb 遺伝子)保有大腸菌(clb+ 大腸菌)が産生する「コリバクチン(colibactin)」は、大腸上皮細胞のDNAに結合して二本鎖切断を惹起し、細胞をがん化へと導く極めて危険な因子である 。しかしながら、コリバクチンは化学的・物理的に極めて不安定な上に微量であるため、生体内からそのまま回収して分析することは事実上不可能であり、その生合成プロセスの全容も「21世紀における構造未決定天然物」の最後の大物として謎に包まれていた 。
恒松博士は共同研究者らとともに、この検出困難なコリバクチンの構造および作用機序の解明に取り組み、コリバクチンによって生じるDNA付加体(DNA adducts)を化学的に追跡・分析する精密なプラットフォームを確立した 。野生型大腸菌の培養物から新規コリバクチン代謝産物の単離に成功し、さらにインサイチュ(in situ)トラッピング剤を応用した成熟コリバクチン誘導体の捕捉および構造決定を達成した 。この分析化学的なブレイクスルーは、コリバクチンが誘発する大腸粘膜の発がんプロセス解明において基礎的な基盤を与えた 。
さらに博士らは、この発がんプロセスを標的とした臨床応用技術(先制医療スクリーニング)の開発にも成功した 。コリバクチンが成熟して活性体へと変換される最後の生合成ステップには、ClbPと呼ばれる特定の細胞外膜会合型プロテアーゼの活性が必須である 。博士らはこのClbPプロテアーゼの活性を選択的かつ超高感度に検出する新規の蛍光プローブを設計・開発した。この技術は、便サンプルなどの非常にシンプルな生態学的・臨床学的検体から、コリバクチン産生菌の有無およびその酵素活性の強さを簡便かつ迅速に測定することを可能にした 。従来の潜血反応などの大腸がんリスク検査とは異なり、がんへと至る最上流の発がんトリガーそのものを捕捉するため、前がん状態やごく初期のポリープ形成段階においても極めて感度よく発がんリスクを検出できるという画期的な利点を持つ 。この開発技術は、日本国特許第7219473号、および米国特許US11,667,945 B2として静岡県公立大学法人から登録され、大腸がんの早期予防診断薬・診断システムとしての実用化開発が進められている 。
共生体(ホロビオント)分子科学と超炭素鎖有機分子の解明
自然界、特に海洋環境に生息する藻類やサンゴ、各種海洋無脊椎動物などの生物群においては、これら複数の生物がひとつの共生複合体「ホロビオント(Holobiont)」を形成して生存している 。こうした共生系において、渦鞭毛藻(Symbiodiniumなど)からは、「超炭素鎖有機分子(Super-carbon-chain molecules: SCCM)」と呼ばれる極めて特異な化合物群が生成されることが知られている 。SCCMは、分子量が2000を遥かに超える巨大な一筆書き構造の炭素鎖からなり、水酸基やエポキシドなどの酸素官能基が密に集積し、代表的な海洋毒パリトキシンに匹敵する極めて強力な生物活性(イオンチャネル標的活性など)を持つ 。しかし、これほど巨大で複雑な分子をどのような生合成酵素が構築しているのかは、約50年以上もの間、現代科学の完全なミステリーであった 。
恒松博士はJST創発的研究支援事業(2022-2028)におけるプロジェクト「超炭素鎖有機分子の生合成」の代表者として、この謎の解明に挑んでいる 。博士らは、SCCMの産生が渦鞭毛藻単独ではなく、渦鞭毛藻と周囲の共生細菌群が形成する「ホロビオント」内の分子コミュニケーション(相互作用)によって制御されているという画期的な仮説を提唱した 。ゲノムが解読されている渦鞭毛藻の培養条件を精緻にコントロールした代謝産物プロファイリングに基づき、分子量2730にのぼる巨大な新規分子「SCCM2730」(分子式:C133H233NO54S)およびその類縁体を特定することに成功した 。抗生物質などを用いてこの共生系を撹乱すると、SCCM2730の産生量が劇的に変化することを見出し、トランスクリプトームおよびプロテオミクス解析を組み合わせることで、SCCMの生合成を担う候補遺伝子群の絞り込みを現在進めている 。
また、このような超巨大化合物の構造決定において、従来の核磁気共鳴(NMR)解析では、渦鞭毛藻の大量培養、数ヶ月に及ぶ抽出・精製工程、そして複雑なシグナル解析を必要とするため膨大な時間と物質量を要することが大きな障壁となっていた 。この問題を打開するため、微小なナノクリスタルに電子線を照射して回折パターンを取得する「極微小結晶電子回折(MicroED)」技術を適用した迅速な三次元構造解析技術の構築に挑戦している。現在のところ、SCCMはその複雑性から乾燥状態で油状物質になりやすく結晶化が難しいため、固体状態が必須となるMicroEDの適用限界を打破するための誘導体化を進めているが、一方で、並行して進めた海洋無脊椎動物由来の新規天然物についてMicroEDを適用することで、従来のNMRのみでは不可能であった三次元化学構造の決定に初めて成功するという優れたサイド成果も報告している 。
酵素化学および分子触媒工学の観点においても、博士は驚くべき複雑な天然物構築ステップを数多く証明している。
アスピロクロリン生合成におけるスパイロアミナール環形成酵素「AclR」の発見と分子機構
麹菌(Aspergillus oryzae)が産生する抗真菌性エピジチオジケトピペラジン(ETP)化合物「アスピロクロリン(aspirochlorine)」は、一般的なETP化合物が持つ架橋型ジスルフィド構造とは異なり、スパイロアミナール環システムに連結された極めて特異な「環拡大ジスルフィド(7員環硫黄含有ブリッジ)」という異常な骨格を有している。恒松博士らは、この特異なスピロ環および複素環構築ステップを詳細に証明した。
博士らは、単一の新規フラボプロテイン酸化還元酵素である「AclR」が、C-S(炭素-硫黄)結合の分子内移動(1,2-スルファミル転位)と、それに続くスパイロアミナール環形成(スピロ環化)を同時に触媒する、これまでに例のない「first-in-class」の酵素であることを解明した。
詳細な遺伝子機能解析と in vitro 反応アッセイにより、以下の極めてユニークな触媒メカニズムが明らかとなった。
潜在的な(隠伏された)アセチル化が必須前提条件:
生合成遺伝子クラスターの解析から、AclRによる再配列反応が進行するためには、中間体に対する「アセチル化(隠伏アセチル化)」が不可欠であることが判明した。実際に、aclR 欠損株($\Delta aclR$)を構築して代謝産物を追跡したところ、本来のアスピロクロリンの代わりに、未反応のアセチル基が保護された状態の生合成中間体が予期せず蓄積することを見出した。
単一酵素 AclR によるドミノ型触媒:
in vitro 反応アッセイにおいて、AclRは単独で、1) $1,2\text{-スルファミル}$転位、2) アセトキシ基の脱離、3) スパイロアミナール(スピロ環)の形成、という極めて複雑な多段階反応を一挙に触媒・推進した。
非カノニカルな $CXXH$ モチーフの結晶構造解析:
AclRの結晶構造解析に成功し、本酵素がチオレドキシン様酸化還元酵素フォルダ(Pyr_redox_2ファミリー)を有することを特定した。通常のETP生合成に関わるジスルフィド形成酵素(GliTなど)が活性中心に $CXXC$ モチーフを持つのに対し、AclRはヒスチジンへと変異した非カノニカルな $CXXH$ モチーフ(具体的には $C_{147}H$ 変異)を保持しており、これが極めて重要でユニークな触媒機能を担っていることが部位特異的変異導入解析から証明された。また、共存するフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)は、酸化還元補酵素(Redox cofactor)としてではなく、単に酵素タンパク質の立体構造(ホールド)を維持・サポートするための構造的因子として機能しているという、極めて珍しい性質も解明された(反応に $NADPH$ などの補助因子を消費しない)。
スピロトリプロスタチン生合成における異種遺伝子クラスター間クロストークと2つのスピロ環形成経路
腫瘍細胞に対する分裂阻害(抗有糸分裂)活性を示すインドールアルカロイド化合物「スピロトリプロスタチン(spirotryprostatin AおよびB)」は、極めて複雑な「スピロ炭素」骨格を持つ。恒松博士および共同研究者の渡辺賢二教授らは、出芽酵母(S. cerevisiae)および黒麹菌(Aspergillus niger)を異種宿主とした全生合成経路の再構築技術(合成生物学プラットフォーム)を駆使し、このスピロ炭素およびスピロ環形成において、自然界が「エポキシ化経路」と「ラジカル経路」という全く異なる2系統の独自の分子触媒メカニズムを使い分けている謎を解き明かした。
FqzB によるエポキシ化経路(スピロトリプロスタチンA):
スピロトリプロスタチンAの生合成においてスピロ炭素を形成する酵素を探索した際、本来のフミトレモルギン(fumitremorgin)生合成遺伝子クラスター内には該当する酵素が見当たらなかった。そこで博士らは、ゲノムマイニングの知見に基づき、本来は全く無関係である「フミキナゾリン(fumiquinazoline)生合成経路」に属するFAD依存性モノオキシゲナーゼ(FMO)である「FqzB」を人工的に発現系に組み込む(クロストークさせる)という革新的なアプローチをとった。その結果、FqzBがフミトレモルギンCを基質として受容し、そのインドール環のエポキシ化反応に続くセミピナコール型転位を一挙に誘発して、スピロトリプロスタチンAへと変換することを突き止めた。これは、「異なる生合成遺伝子クラスター(BGC)間の機能的クロストーク」が、天然物の構造多様化と新規分子創出の引き金になることを証明した極めて重要な先駆的成果である。
FtmG によるラジカル経路(スピロトリプロスタチンB):
一方で、スピロトリプロスタチンB(メトキシ基を欠く類縁体)においては、フミトレモルギン生合成経路自体に含まれるシトクロムP450酵素である「FtmG」が直接機能する。FtmGは、$C\text{-}H$ 活性化を起点とする2段階のラジカル生成を媒介し、ラジカルが炭素骨格を移動(マイグレーション)したのち、セミピナコール型転位を経由して一挙にスピロオキシインドール環を形成する「ラジカル機構」で動作していることを実証した。
このほか、Aspergillus属の複雑な有用代謝物である「プセウロチン(pseurotin)」ファミリーの生合成ステップに関しても、系統的な遺伝子欠損・破壊解析とインビボ(in vivo)・インビトロ酵素実験によってその複雑な転位・メチル化機構を精緻に特定している 。
植物、担子菌、海洋生態系における化学生態学と生合成研究
恒松博士はカビや放線菌といった主要な微生物に留まらず、植物、キノコ(担子菌)、海洋生態系といった広範な生物圏に存在する有用代謝物の生合成および化学生態学(Chemical Ecology)的な相互作用に関しても多角的な研究を展開している。
植物由来有用ステロイドの生合成:日本産ヤマノイモ由来ジオスゲニン
ヤマイモ(Dioscorea japonica)やパリ・ポリフィラ、フェヌグリークといった有用植物に含まれるジオスゲニン(diosgenin)は、代表的な生理活性ステロイドサポニンであるジオスシンのアグリコンであり、抗炎症や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から肝細胞がん(HCC)への進行リスク抑制など、多彩な薬理効果を示す有望な化合物である 。恒松博士らは、日本産の天然ヤマノイモにおいて、このジオスゲニンの生合成を司る主要酵素の遺伝子発現パターンと、植物体内の根や茎などの特定の組織における組織分布をプロファイリングし、植物内における二次代謝の制御機構と集積プロセスを明らかにした 。
キノコの細胞発達を司るコプリノフェリン生合成の開拓
大型の担子菌(キノコ類)である Coprinopsis cinerea において、真菌類の全体的な二次代謝制御を司る転写因子LaeAの遺伝子ノックアウト実験を行った 。その結果、これまでは休眠(サイレント)状態にあった新規遺伝子クラスターの覚醒が生じ、新奇なシデロフォア(鉄キレート化合物)である「コプリノフェリン(coprinoferrin)」が予期せずアップレギュレーションされ、大量生産されることを見出した 。このコプリノフェリンは、担子菌の菌糸成長や、キノコとしての成熟体(子実体)を形成・発達させるプロセスにおいて、必須の生理活性機能を果たしていることが示された 。博士は、この構造を確定するために日本大学の早川一郎教授らと共同化学合成研究を行い、複雑なコプリノフェリンの全合成および絶対立体構造の同定を2023年末に達成した 。
海洋における食物連鎖と毒素・細胞毒性物質の蓄積解析
海洋動物における化学生態学的追跡として、ウミウシの一種であるクロヘリアメフラシ(Aplysia kurodai)から得られる強力な新規細胞毒性物質「アプラミノン(aplaminone)」誘導体の単離・同定に成功した 。この化合物の起源について、アメフラシが自ら合成しているのではなく、アメフラシが捕食する周囲のローカルな海洋微細藻類に由来する成分が、食物連鎖(Food Chain)を通じて選択的かつ濃縮して蓄積されている化学的蓄積メカニズムを明らかにし、海洋動植物のサバイバルにおける化学防御戦略を解明した 。
さらに、地球温暖化や気候変動に伴って世界的なリスクが高まっている有毒渦鞭毛藻 Ostreopsis のブルーム(赤潮・大量発生)についても、その原因物質であり、猛毒パリトキシン類縁体である「オバトキシン(ovatoxin)」類の産生において、藻類表面に共生する多様な海洋性細菌コミュニティが果たす相互代謝制御ネットワークを明らかにし、環境毒性学の観点からも重要なアプローチを行っている 。
結論
恒松雄太博士が推進する研究は、従来の「自然界から得られた天然物を改変する」という受動的な天然物化学から、遺伝子のレベルで生合成経路そのものを再構築して非天然型の複雑物質を作り出す「能動的・攻性(Proactive)」な合成生物学への完全なシフトを象徴している 。
博士らが開発した「ケム・バイオハイブリッド合成」は、オバリシンに代表される天然物が抱えていた「高い活性と極端な不安定性・高毒性」というトレードオフの限界を完全に打破し、アメーバ赤痢をはじめとする数々の難治性感染症や難病に対する新薬候補の創出において新たなドラッグデザイン・プラットフォームを提供した 。同時に、遺伝毒性物質コリバクチンの超高感度蛍光プローブ開発に見られるように、生体内における複雑な代謝産物の微量検出を先制医療技術(大腸がん超早期リスクスクリーニング)へ昇華させた点は、予防医学・社会福祉への直接的な還元成果として極めて大きな社会的意義を有している 。
さらに、海洋の超巨大複雑化合物である超炭素鎖有機分子(SCCM)の解明や、機械学習を駆使したNRPS Aドメインの基質予測アルゴリズムの創出、さらには「ホロビオント分子科学」という生態系全体を統合的に捉える新領域の開拓など、恒松博士の研究は常に未踏の学術フロンティアに挑み続けている 。これらの多分野融合アプローチは、ゲノム情報の解読が進んだポストゲノム時代における天然物創薬および精密分子ものづくりの未来図を示すものであり、今後も日本のライフサイエンスおよびバイオテクノロジー産業を力強く牽引していくことが大いに期待される 。(頑張ります。)
経歴
11-
2022年4月 - 現在
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2022年4月 - 現在
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2022年7月 - 2026年3月
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2023年4月 - 2024年3月
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2021年4月 - 2022年3月
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2017年7月 - 2022年3月
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2014年8月 - 2017年6月
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2012年4月 - 2014年7月
-
2011年4月 - 2012年3月
-
2010年4月 - 2011年3月
学歴
3-
2008年4月 - 2011年3月
-
2006年4月 - 2008年3月
-
2002年4月 - 2006年3月
委員歴
5-
2017年4月 - 現在
-
2023年5月 - 2025年4月
-
2023年3月 - 2025年2月
-
2017年4月 - 2022年3月
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2017年12月 - 2017年12月
受賞
10-
2026年3月
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2014年10月
-
2013年10月
-
2012年4月
-
2010年10月
主要な論文
70-
Journal of the american chemical society 148(7) 7189-7201 2026年2月3日 査読有り
-
Journal of the American Chemical Society 143(1) 206-213 2021年1月13日 査読有り
-
Organic letters 21(18) 7582-7586 2019年9月 査読有り
-
Angewandte Chemie (International ed. in English) 2018年8月 査読有り
-
ANGEWANDTE CHEMIE-INTERNATIONAL EDITION 55(21) 6207-6210 2016年5月 査読有り
-
Organic letters 17(2) 258-261 2015年1月 査読有り
-
ANGEWANDTE CHEMIE-INTERNATIONAL EDITION 53(32) 8475-8479 2014年8月 査読有り
-
Nature chemical biology 9(12) 818-25 2013年12月 査読有り
MISC
45-
日本農芸化学会大会講演要旨集(Web) 2024 2024年
-
がん予防学術大会プログラム・抄録集 2022 2022年
-
がん予防学術大会プログラム・抄録集 2021 (CD-ROM) 2021年
-
日本農芸化学会大会講演要旨集(Web) 2021 2021年
-
日本生薬学会年会講演要旨集 67th 2021年
-
日本農芸化学会大会講演要旨集(Web) 2020 2020年
-
天然有機化合物討論会講演要旨集(Web) 62nd 2020年
-
日本生薬学会年会講演要旨集 66th 2019年
-
日本生薬学会年会講演要旨集 66th 2019年
-
日本薬学会年会要旨集(CD-ROM) 139th 2019年
-
日本薬学会年会要旨集(CD-ROM) 139th 2019年
-
日本生薬学会年会講演要旨集 66th 2019年
-
日本農芸化学会大会講演要旨集(Web) 2019 2019年
-
日本薬学会年会要旨集(CD-ROM) 139th 2019年
-
日本環境変異原学会大会プログラム・要旨集 47th 105 2018年10月10日
-
日本生薬学会年会講演要旨集 65th 67-67 2018年8月31日
-
日本細菌学雑誌 73(1) 56-56 2018年2月
-
日本細菌学雑誌(Web) 73(1) 56(J‐STAGE)-56 2018年2月
-
日本細菌学雑誌 73(1) 56-56 2018年2月
-
日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会講演要旨集 2018 2018年
書籍等出版物
5-
アグリバイオ11月号 北隆館 2021年10月
-
有機合成化学協会誌, 76, 490-493, 2018. 2018年5月
-
ファルマシア, 54, 458, 2018. 2018年5月
-
生物工学会誌 90, 289-292, 2012.
-
化学と生物 50, 163-174, 2012.
主要な講演・口頭発表等
172-
日本農芸化学会2026年度京都大会 2026年3月
-
Nagoya-Rice Joint Chemistry Symposium 2026年1月 招待有り
-
Pacifichem2025 2025年12月 招待有り
-
JST/ACT-X 環境とバイオテクノロジー領域 2025年8月 招待有り
主要な共同研究・競争的資金等の研究課題
14-
科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業 2022年4月 - 2028年3月
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AMED 令和5年度 新興・再興感染症研究基盤創生事業 (多分野融合研究領域) 2023年6月 - 2026年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B) 2023年4月 - 2026年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B) 2023年4月 - 2026年3月
-
AMED 新興・再興感染症研究基盤創生事業 多分野融合研究領域 2020年12月 - 2023年3月
メディア報道
2-
中京テレビ キャッチ! 2026年9月16日 テレビ・ラジオ番組
-
中日新聞 2026年4月6日 新聞・雑誌