寺田 裕

ニューロンやシナプスから構成されている脳がどのようにして高度な情報処理機能を実現しているのかについて興味を持ち研究を行っています．物理学・数学・情報理論周辺の理論および解析手法を用いて，脳神経系を表現する数理モデルの構築・理論解析・数値シミュレーション，および実験データの解析を行うことで，脳の情報処理メカニズムの解明を目指しています．

同時に，多くの素子から構成されている多体系を理論的に扱う物理学の分野である統計力学（特に非平衡統計物理学や非線形動力学）に関わる研究を行っており，（特に脳神経系に関する）応用においても重要な知見を得ることを目指しています．

これまでの主な研究テーマは以下の通りです：

1. 決定論的かつ不規則的な神経活動が果たす情報処理における役割（Y. Terada & T. Toyoizumi, bioRxiv 2023）
2. 神経活動データから神経細胞間の結合を推定する手法の開発と培養神経系の発火活動データへの適用（Y. Terada, T. Obuchi, T. Isomura, & Y. Kabashima, Neural Computation 2020; Y. Terada, T. Obuchi, T. Isomura, & Y. Kabashima, NeurIPS 2018 など）
3. 様々なリズムを持つ素子が相互作用している系における理論解析とその応用（Y.Y. Yamaguchi & Y. Terada arXiv 2022; Y. Terada & Y.Y. Yamaguchi Journal of Physics A 2020 など）

現在は，カリフォルニア大学サンディエゴ校生物科学部門神経生物学分野理論神経科学研究室において海馬における空間情報表現と神経系の可塑性に関する理論的研究を行っています．

また，同期的な神経ダイナミクスを表現する数理モデルの統計力学的解析に関する研究を行っています．