MISC

2021年12月

ゲノム編集技術を利用した遺伝子改変マウスの簡便な作製法

防衛医科大学校雑誌
  • 中村 伸吾
  • ,
  • 秦 裕樹

46
4
開始ページ
147
終了ページ
154
記述言語
日本語
掲載種別
記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
出版者・発行元
防衛医科大学校雑誌編集委員会

ゲノム編集技術は、ゲノム上の指定した塩基配列の修正を可能にする技術であり、目的遺伝子の操作ツールとして、様々な細胞において広く利用されている。特に、CRISPR/Cas9システムは、ゲノム編集を行うにあたって必要となるゲノム編集成分の設計が簡単に行えるため、in vitroにおいて相同組換えを利用する従来のジーンターゲティング法に代わる手段としての立場を確立している。発生工学の分野においても、CRISPR/Cas9システムは大きな変革をもたらしている。当初期は、マイクロインジェクション法や電気穿孔法などの古典的な遺伝子導入技術による初期胚操作でCRISPR/Cas9システムが採用されたが、この方法では受精卵を生体外で取り扱う必要があった。最近では、in situでの簡単な胚操作による新たな方法が幾つか報告されている。これらの方法では、ゲノム編集成分を妊娠中の雌マウスの卵管を経由して胚へ導入したり、母体への尾静脈注射によって経胎盤的に胎仔へ導入したりしている。このようなユニークな遺伝子導入技術は、ゲノム改変動物の簡便な作製方法の開発へとつながり、また胎仔の遺伝的疾患の治療に役立つ可能性がある。本総説では、生体内でCRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子改変マウスを作製する最近の我々の研究成果を中心に概説する。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0385-1796
  • 医中誌Web ID : 2022082976

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