2008年6月
60歳で発症した尾骨部先天性皮膚洞の1例
日本形成外科学会会誌
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- 巻
- 28
- 号
- 6
- 開始ページ
- 380
- 終了ページ
- 383
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本形成外科学会
症例は60歳女性で、数ヵ月前から尾骨部の皮膚の発赤を伴う硬結を自覚、徐々に増大して疼痛を伴うようになり来院、外科にて肛門周囲膿瘍の疑いで局所麻酔下に切開され、病巣部には白色の粘稠液が貯留しており、内容物の細菌培養試験は陰性であった。術後、2ヵ月目に同部位に肉芽が出現したため形成外科紹介となり、初診時には殿裂の右寄りに13×6mm大の肉芽組織を認め、肉芽内にゾンデを挿入したところ瘻管を認めたため造影を行ったところ瘻管の皮下の長さは約5cmであった。全身麻酔下に瘻管の摘出を施行し、瘻管は盲端となり尾骨先端の骨膜と強く癒着していたが、瘻管の脊柱管内への侵入は認めなかった。瘻管摘出部は死腔を残さぬように中糸をかけ単純縫縮し、摘出された瘻管は全長約5cmで、病理組織学的所見から尾骨内に存在する先天性皮膚洞と診断した。術後6ヵ月経過の現在、再発の徴候は認めていない。
- ID情報
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- ISSN : 0389-4703
- 医中誌Web ID : 2008271243