共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2017年3月

計算科学と情報科学によるCTD及びCTRの構造空間と転写因子認識機構の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
15H01360
体系的課題番号
JP15H01360
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
10,270,000円
(直接経費)
7,900,000円
(間接経費)
2,370,000円
資金種別
競争的資金

本年度は転写サイクル過程に大きな影響を及ぼすRNAポリメラーゼのctd領域とSpt5のctr領域のリン酸化が分子コンフォメーション及びその分子認識に与える影響について研究した。RNAのctd領域とctrペプチドはRNAポリメラーゼの転写過程に重要な役割を果たしている。ctd領域とctr領域はそれぞれ特異的にリン酸化される部位が特定されており、リン酸化が機能on-offのスイッチとなっている事が実験から示されているがその分子レベルでの詳細は明らかにされていない。
<BR>
本研究では長時間分子動力学シミュレーションと機械学習の手法を融合してこのctdペプチドとctrペプチドのリン酸化によって誘起されるコンフォメーション変化の抽出を試みた。長時間分子動力学シミュレーションでは最近報告された構造不定タンパク質の解析に適した水モデルを新たに採用してその精度を高めた。
また機械化学習については多次元距離尺度法とその非線形空間への拡張版であるIsomap法を駆使してリン酸化によるコンフォメーション変化の特徴を次元削減した位相空間上に射影し解析能力を高める事に成功した。具体的には、溶質及び溶媒を含めた多次元空間のシミュレーションデータから距離尺度を定義して、これを2次元空間に射影する数理解析ツールプログラム群を作成し、シミュレーションから得られた大規模データを処理した。その結果、多次元距離尺度法とIsomap法によってリン酸化によるコンフォメーション変化を低次元空間上に写像しリン酸化分布と非リン酸化分布を明確に分離する事に成功した。
本研究課題の成果によりリン酸化が転写過程に与える効果を分子レベルでより精密にとらえる事が可能である事を示した。特に、分子シミュレーションと機械学習を組み合わせることで転写サイクル研究の推進に一定の貢献ができたと考えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-15H01360
ID情報
  • 課題番号 : 15H01360
  • 体系的課題番号 : JP15H01360