共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年4月 - 2014年3月

粗視化分子シミュレーションによるメゾスケール熱流動現象の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 吉本 勇太

課題番号
12J03454
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,800,000円
(直接経費)
1,800,000円
資金種別
競争的資金

本研究では, 散逸粒子動力学(Dissipative Particle Dynamics : DPD)法をミクロスコピックな観点から再構築し, 物質・運動量輸送を再現可能な粗視化モデルをボトムアップ方式で構築する手法を検討した. まず, 原子・分子群(クラスタ)の重心を粗視化粒子とみなし, クラスタの重心運動を規定する一般化Langevin方程式に基づいて粗視化粒子の運動方程式を導出した. その際, Markov近似に基づいたDPD法を拡張し, 粒子運動の履歴性を考慮したnon-Markovian DPD (NMDPD)法を提案した. NMDPDの粒子間力(平均力, 摩擦力, 揺動力)は下層における微視的粒子の運動及び相互作用によって記述されており, ミクロスコピックな解析からボトムアップ方式でモデリングが可能である. 次に, NMDPDの妥当性を検証するために, Lenriard-Jones (LJ)流体のNMDPDモデルを分子動力学(Molecular Dynamics : MD)計算によりボトムアップ方式で構築した. LJ粒子群で構成されるクラスタ間に作用する力に基づいてNMDPDにおける平均力, 摩擦力, 揺動力をモデリングする方法を提案した. また, 揺動力の時間相関関数とクラスタ重心の速度相関関数を比較し, 液体等の高密度な系においてはMarkov近似に基づいたDPDが適用できないことを示した. 最後に, MD計算によるサンプリング結果に基づき, 平衡及び非平衡状態におけるDPD及びNMDPDシミュレーションを行い, DPD及びNMDPD系の静的・動的特性をMD系のものと比較した. Markov近似に基づいたDPDモデルは, 平衡状態における温度・拡散係数を過小評価, 粘性係数を過大評価しており, 揺動散逸関係が不適切であることが示された. それに対して, NMDPDモデルはMD系の温度, 拡散係数, 粘性係数をDPDよりも正確に再現できており, 物質・運動量拡散のダイナミクスを解析する方法としてのNMDPDの可能性が示唆された.

ID情報
  • 課題番号 : 12J03454