低炭素オーステナイトステンレス鋼の応力腐食割れ発生感受性に及ぼす熱時効の影響
日本金属学会2016年秋期(第159回)講演大会
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- 開催年月日
- 2016年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 豊中
- 国・地域
- 日本
本研究では、低炭素オーステナイトステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)発生感受性に及ぼす熱時効の影響を明らかにすることを目的とした。試料として低炭素オーステナイトステンレス鋼であるSUS304LおよびSUS316Lを用い、すきま付き定ひずみ曲げ試験(CBB試験)によりSCC発生感受性を評価した。熱時効試料においては、いずれ低炭素オーステナイトステンレス鋼ともき裂の発生が認められなかった。この事から、熱時効のみではSCC発生感受性が高まることはないと考えられる。一方、冷間加工を施した熱時効後試験片のSUS304Lでは、冷間加工を施さず熱時効試験した試料と同様にき裂の発生は認められなかったが、SUS316Lでは多数のき裂が観察された。これにより、冷間加工と熱時効の組み合わせ条件の場合では、SCC発生感受性が増大することが示された。熱時効試験したSUS316Lの結晶粒界に対してTEM/EDX分析を行い、Cr元素の欠乏等の成分偏析や析出第二相の有無を調査したが、それらは観察されず熱時効の影響は認められなかった。これらのことから、鋭敏化以外の要因でSCC発生感受性が高まった可能性が考えられる。