Works(作品等)

2015年3月

【書評】「『抵抗することば――暴力と文学的想像力』藤平育子監修、高尾直知・舌津智之編集」


作品分類
その他
発表場所
立教大学文学部英米文学専修 英米文学

20人に及ぶアメリカ文学研究者が、近代作品から現代作品、そして日本文学にも視野を広げながら、文学作品に描かれる暴力について論じた論文集の書評を執筆した。文豪志賀直哉の作品から日本における「自我」を概観し、アメリカ文学における「自我」との比較がなされた論考では、その形成過程が国家の歴史によって異なると主張されている。ひとえに「自我」と言っても、その言葉が持つ意味は決して一つではないのであって、そのような認識は、英語と日本語を詳細に比較検討していくことで得られるものだ。文字体系などをふまえた両言語の特質を学ぶ重要性が示された。他にも、アメリカ文学におけるギリシア神話の援用の論考など、二言語間の共通性や差異に特に注目した。