老人保健施設で口腔衛生管理加算を算定された高齢者を対象とし、口腔ケアの実施状況と肺炎発生との関連について分析した。分析に用いたデータは、西日本の一自治体において2012年4月〜2016年3月の医科・歯科レセプトと介護レセプトを個人単位で連結・匿名化されたデータであり、本研究の対象者に該当するのは430名であった。分析の結果、介護保険サービスで提供される口腔ケア関連の加算と肺炎発生との間に有意な関連は認められなかった。歯科医による居宅療養管理指導を受けている群では肺炎発生のハザード比が有意に高く、これは、肺炎発症リスクの高い口腔衛生状態にある高齢者に対して居宅療養管理指導が提供されているためと考えられた。