研究ブログ

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Webでみられるなかにしの講演など

◇古代末期の儀礼と思想史関連

魔術研講演会「古代ギリシアの神働術」(2022年7月30日)


ヒロ・ヒライ氏との対談1(2021年12月)

ヒロ・ヒライ氏との対談(音声のみ・2022年2月)


◇書評
祝! 読売文学賞(小説賞)受賞。
ジュリアンとジョージの冒険の海へ ——『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』を読む
評・中西恭子(宗教学宗教史学・詩と文藝評論)
https://web.kawade.co.jp/bungei/34140/

慶應義塾大学出版会ウェブサイトでの『ユリアヌスの信仰世界』紹介頁
https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423822/
著者による紹介
https://www.keio-up.co.jp/kup/gift/julianus.html

◇リモートコーラス
合唱団あっぱれ・海はなかった
(タイトル頁の「っ」の字の上にいる人がなかにしです)


Salicus Kammerchorと歌うトマス・タリス《40声のモテット》Bチーム

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「イエス時代のユダヤ共同体における宗教的要素と物質的要素」

市川科研(科学研究費研究助成金基盤研究A「ユダヤ・イスラーム共同体の起源と特性に関する文明史的研究」)主催シンポジウムのお知らせです。
12月に天理大学で開催されたシンポジウムにつづく、テル・レヘシュのシナゴーグ発掘調査に関連するイベントです。今回はキネレット・コレッジ(イスラエル)からモルデハイ・アヴィアム博士をお招きしてシンポジウムとセミナーを行います。ぜひご参集ください。

科学研究費研究助成金基盤研究A
「ユダヤ・イスラーム宗教共同体の起源と特性に関する文明史的研究」
シンポジウム・セミナー
イエス時代のユダヤ共同体における宗教的要素と物質的要素
Religion and material culture in the age of Jesus of Nazareth

一神教の歴史を俯瞰するとき、イエスが活動した頃のユダヤ教社会はどういう意義をもつだろうか。この時期は、キリスト教の出現の歴史として記述されるのが通例であるが、タルムードへと発展するユダヤ教を考慮に入れるとき、その時代は異なった相貌をもって立ち現れてくる。
 エルサレム神殿崩壊(西暦70年)前後の時代に焦点を当てて、宗教が生活に浸透する様子を、発掘成果と宗教史の接点に着目して、「モノと観念」の宗教研究を試みていきたい。貨幣や食器や集会所さらに都市全体は、いかなる宗教観念を反映するのであろうか。

シンポジウム
2017年1月29日(日)
東京大学駒場キャンパス 5号館523教室 13時-18時
使用言語 英語・日本語
入場無料・予約不要・一般来聴者歓迎

プログラム
13時 趣旨説明 市川裕(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
13時15分-13時45分 江添誠(慶應義塾大学講師)
Religious Identities of Decapolis Cities as Reflected by the City-Coins:
With a focus on the Images of Tyche
コインに刻まれたデカポリス都市の宗教的アイデンティティー
-女神テュケーの図像を中心に-
13時45分-14時 コメント 中西恭子(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
14時10分-14時40分 牧野久実(鎌倉女子大学教授)
The Jewish dietary customs and sense of purification in ancient
Palestine:
Etic and emic approaches to the archaeological materials
古代パレスティナにおけるユダヤの食の規定と穢れの概念
-考古学者と生活者の視点から-
14時40分-14時55分 コメント 小野塚拓造(東京国立博物館研究員)
15時15分-16時15分 モルデハイ・アヴィアム
(Director, Institute for Galilean Archaeology, Kinneret College)
The role and function of the synagogue in the Second Temple period as
illuminated by archaeology
考古学から見た第二神殿時代におけるシナゴーグの役割と機能
16時15分-16時30分 コメント 山野貴彦(聖公会神学院・農村伝道神学校・
日本聖書神学校講師)
16時50分-17時50分 全体討論
17時50分-18時 閉会の挨拶

1月31日(火)セミナー
東京大学本郷キャンパス法文1号館209教室 14時-18時
Historical Significance of the Jewish Cities in the Galilee in the Late
Antiquities
モルデハイ・アヴィアム(Director, Institute for Galilean Archaeology,
Kinneret Academic College)
使用言語 英語

主催:科学研究費研究助成金基盤研究A
「ユダヤ・イスラーム宗教共同体の起源と特性に関する文明史的研究」
(代表者=市川裕)
問い合わせ:
03-5841-3765(東京大学大学院人文社会系研究科宗教学宗教史学研究室)
ichkaken@l.u-tokyo.ac.jp
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最近書いた詩歌・評論関係の文章

最近書いた詩歌・評論関係の文章についてお知らせします。

『現代詩手帖』2016年9月号・特集「古典詩への誘い」に「叙景と引証とわたし、ある古代末期文学紹介の試み」を寄稿しました。
古代末期地中海世界のギリシア語文学・ラテン語文学の抒情と叙景と「私がたり」について、古代末期に取材した日本語現代詩における「学匠詩人」の系譜について書きました。
作曲家・チェンバリスト根本卓也氏への選詞協力についても書いています。
http://www.shichosha.co.jp/gendaishitecho/item_1705.html
この文章で言及したアンミアーヌスによる地震描写のテクストは『ユリアヌスの信仰世界』のプロローグでも引用しました。ぜひご覧下さい。

『ユリイカ』2016年12月号「特集=『ファンタスティック・ビースト』と『ハリー・ポッター』の世界」に「夢みるひとの物語、醒めたるものの物語 ファンタジーと「宗教的なもの」についての試論」を寄稿しました。
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=2995
ポスト世俗化社会におけるファンタジー表象とファンタジー文学の機能と作家の職能、ファンタジーのなかのメディーヴァリズム(中世憧憬、中世回帰)表象と現代の宗教的・政治的メディーヴァリズムの現実との葛藤、「新しいヒューマニズム」の一側面としてのファンタジー表象との思いがけない出会いの可能性について書いています。
新しい芸風を切り開くきっかけをいただきました。ありがとうございます。

『ユリイカ』の「《ファンタスティック・ビースト》と《ハリー・ポッター》の世界」特集は、J.K.ローリング作品の作品世界と映像化について主に文学研究者と映像研究者が的確かつ興味深い分析を寄せた大充実の一冊です。
井辻朱美さんと池澤春菜さんの対談、鏡リュウジさんによるクリスティナ・ハリントンさんインタビュー(西洋中世史家としてのアカデミックキャリアからソリッドで洞察の深いなおかつこわくないあやしくない魔法書店の店主へ)も面白いです。皆様ぜひお手にとってごらんください。
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単著『ユリアヌスの信仰世界』を上梓しました

このたび、単著『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』を慶應義塾大学出版会から上梓いたしました。
博士学位請求論文に大幅に加筆改訂して単著に仕上げました。

日本ではイプセンやメレジコーフスキイや辻邦生の戯曲・小説で知られてきたローマ皇帝、「背教者」ユリアヌスが見た同時代の宗教と父祖たちの祭祀の伝統とははたしてなんであったのか。彼が求めた威厳ある清潔な宗教の実相とはなんであったのか。ユリアヌスの読書経験とイアンブリコス派新プラトン主義の関わりを参照しつつこの問題に取り組んで、見通しを提供した著作です。
日本人研究者によるユリアヌスの知的伝記としてははじめての試みです。

自分で言うのも何ですが、「知の歴史」と宗教史学を架橋しつつも叙述の魅力ある歴史書になったと思います。あとがきから読む派のみなさんにもお楽しみいただけるかと思います。
上梓にあたっては平成28年度科学研究費助成事業研究公開促進費(学術図書)の助成をいただきました。
改めて感謝申し上げます。

慶應義塾大学出版会ウェブサイトの紹介頁はこちらです。
目次と梗概がみられます。
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423822/

慶應義塾大学出版会ウェブサイトに自著紹介エセーも掲載されました。
リンクはこちらです。
http://www.keio-up.co.jp/kup/gift/julianus.html

耳塚有里さんによる装幀は大理石やトラヴァーティンの輝きの面影も伝えて素敵です。
かっこいい本にしあげてくださってただただ感謝です。

いま慶應義塾大学出版会のウェブサイトのトップページでは、『ユリアヌスの信仰世界』は東大宗教学研究室同窓の渡辺優さんの著書『ジャン・ジョゼフ・スュラン』とともに「おすすめ本」コーナーで紹介されております。「生きられた経験」としての宗教現象を対象化しつつ実証的な研究を行う東大宗教学研究室西洋宗教史部門の学風とその出身者の著作をこのようにしてひきたててくださり、ほんとうにありがたいことです。

7500円+税と、学食の麺類およそ1ヶ月分のおねだんいたしますが、みなさまどうぞよろしくお願い申し上げます。
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シンポジウム 「宗教」をものがたる-宗教/文学研究のいま-

「宗教・イメージ・想像力」研究会、第2回の企画として以下のシンポジウムを行います。
私もコメンテーターとして登壇します。
ショートノーティスで恐縮ですが、ご関心おありのかたぜひお運び下さい。
近藤光博さんのnoteより情報を転載します)

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【シンポジウム】「宗教」をものがたる-宗教/文学研究のいま-

◆ 2016年8月7日(日)13時半から17時半ごろまで(時間帯が多少前後するかもしれません)

◆ 日本女子大学 目白キャンパス 百年館

◆ 発表者 ※ 諸般の事情から、発表順が変更になりました(160803)

13:30-14:10 茂木謙之介(東京大学大学院)「〈幻想〉の宗教学 ―雑誌『幻想文学』研究序説―」 ※『幻想文学』をめぐって

14:10-14:50 橋迫瑞穂(立教大学)「ポピュラー小説にみられる宗教/スピリチュアル的「世界」観 ー恩田陸『夢違』を事例に―」 ※ 恩田陸『夢違』をめぐって

<休憩>

15:10-15:50 飯島孝良(東京大学大学院)「メディアとしての一休「像」とその禅文化史的意義」 ※ 水上勉『一休』、唐木順三「しん女語りぐさ」、加藤周一「狂雲森春雨」、『別冊太陽 一休』などをめぐって

15:50-16:30 大澤絢子(東京工業大学大学院)「新聞小説と親鸞像 ―石丸梧平から吉川英治へ―」 ※ 石丸梧平の新聞小説をめぐって

◆ コメンテータ 中西恭子(東京大学)

◆ 主旨 (文責:茂木)

※ この企画は、「宗教と社会」学会 第24回学術大会でのテーマセッション「物語を読む、宗教を読む―宗教/文学研究の架橋のために―」(代表者:橋迫瑞穂)のフォローアップ企画です。

 本シンポジウムの目的は、近現代の諸メディアの分析を通して、「宗教文学」を問い、宗教研究と文学研究の架橋を図ることにある。

  これまで宗教研究では、フィクションと宗教を問う際に、文学テクストに内在する〈宗教〉的モチーフの検討が多くなされてきた。だが、そこで扱われる〈宗 教〉的モチーフとはいかなるものかについては曖昧な議論がまま見受けられ、文学テクストを扱うに際してのメディア論的な見地からの検討も十分になされてき たとは言いがたい。一方で、文学研究における「宗教文学」研究においては、特に特定の宗教への信仰を語る主体を対象とするような作家論的研究が多くを占め ていると言える。

 過去二十年以上にわたり、人文諸学においては自らの学問領野の自明性・自律性を問い直す試み が行われてきた。宗教研究においては、〈宗教〉概念が俎上に載せられ、分析概念の相対化が図られてきたことは周知の通りであり、また文学研究においても、 〈文学〉なるものの範囲、正典(カノン)としての〈名作〉の特権性、そしてロラン・バルト以降の作者の優位性をそれぞれ問い直す動向が生起している。だ が、そのように自らの研究領野へ批判的なまなざしを向ける一方で、周辺領野の研究に関して相対化は十分に図られてきていないのではないだろうか。言うなれ ば物語と宗教の関わりをめぐって、宗教研究と文学研究は、互いの研究領野における学問的達成への目配りが成立しているとは言いがたく、積極的な架橋が望ま れているのである。

 以上の問題意識から、本シンポジウムでは、作家論的研究を乗り越えることを一つの課題と し、宗教研究及び文学研究で共に研究領野の相対化に資しているメディアへの注目を一つの視座として検討を行う。なお、メディアはイエ、教育とならび、大衆 の宗教へのアクセスの仕方として想定可能である。特に大衆が宗教性に巻き込まれる、あるいは大衆を宗教性に巻き込むといった事態を想定した際、メディアを 分析する意義はきわめて大きい。これを見ることによって端的に文学の正典に寄り添うだけにとどまらない「宗教/文学」研究の可能性を探ることができるので はないだろうか。

 大正期の新聞小説における親鸞の検討を行う大澤絢子、および戦後諸雑誌における一休表象を問 う飯島孝良の報告では、近世以降の出版文化の流れを踏まえつつ、近代以降の諸メディアにおける祖師像の形成過程とその意義を明らかにする。スピリチュアリ ティの観点から恩田陸の小説『夢違』の分析を行う橋迫瑞穂と、雑誌『幻想文学』における宗教学知の影響を論じる茂木謙之介は、1970年代のオカルトブー ム以降の現代文化の文脈をおさえつつ、文学の文化的背景としての宗教を論ずる。

 コメンテーターには宗教研究と文学研究を架橋する実践者である中西恭子氏を迎え、討議を行いたい。

◆ 連絡先 近藤光博 fwih3395@mb.infoweb.ne.jp またはツイッター @mittsko

◆ 主催:「宗教・イメージ・想像力」研究会/エコノミメーシスR&D   
オーガナイザ: 茂木謙之介/橋迫瑞穂

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