基本情報

所属
東京大学大学院 教育学研究科 教授
学位
博士(教育学)(広島大学)
修士(教育学)(広島大学)

研究者番号
80240050
J-GLOBAL ID
200901053400729039
researchmap会員ID
1000290077

■研究の特徴: 哲学・思想史の検討を通した教育(学)的思考の更新

 人間が〈成長〉するということ、また教育すること(そうした〈成長〉に介入すること)について考えるとき、私たちは往々にして暗黙の裡に社会や歴史の文脈に影響を受けつつ、特定の観念、概念、二項図式、問題構成、信念、世界観、価値観などに制約されて思考しています。そのような思考法そのものを相対化(第二次的観察)しつつあらためて教育を考察することは、そう簡単なことではありません。私たちの分野は、主として哲学・思想史の検討を通して、思考の体系性や歴史性そのものを考察対象の一部とし、そこから翻って教育や人間の〈成長〉に関する新たな解釈を探究します。
■研究の具体例: メモリー・ペダゴジー構想
 最近は、集合的記憶と想起文化の観点から教育および人間形成を捉え直す〈メモリー・ペダゴジー〉を構想し、学際的なメモリー・スタディーズと教育学と哲学の架橋を試みています。とりわけカタストロフィの記憶を伝承することの意義と課題をめぐる理論的な考察に関心の中心を置きつつ、想起文化の現場にも足を運んでいます。これまでドイツの教育哲学・思想史研究者たちとの学術交流を通して活動をしてきたこともあり、人間と文化のアイロニカルな関係性を主題としたビルドゥング(Bildung)論、そしてナチズムの記憶との対峙を主題とした想起文化論および追悼施設教育論などを、諸考察の重要な基盤としてきました。
■教育哲学の魅力: 境界線を超える学問ディシプリン
 教育哲学・思想史の魅力(場合によっては弱点にもなるのですが)は、考察の対象や方法を限定せず、むしろそれらを拡張したり別のものと接続させたりする自由さにあります。私自身、これまで教育における「自律性」問題(啓蒙の哲学、子ども中心主義)、追悼施設教育論(戦争に関する想起文化の日独比較)、教育における「暴力」問題(絵本論)、都市とアーキテクチャの人間形成論(田園都市の生活改革思想史)など、様々なテーマに取り組んできました。

 


研究分野

  1

委員歴

  23

受賞

  1

論文

  38

MISC

  108

書籍等出版物

  63

講演・口頭発表等

  85

共同研究・競争的資金等の研究課題

  38

社会貢献活動

  34

メディア報道

  9

その他

  7
  • 2015年9月 - 2015年9月
    日本学術振興会外国人招へい研究者(短期・再招へい)の枠で、2015年9月9日から11月5日までの間、ローター・ヴィガー教授(ドルトムント工科大学)を迎え、共同研究・教育活動を行った。
  • 2013年10月 - 2013年10月
    2013年10月18日から同月26日までの間、ローター・ヴィガー教授を迎え、共同研究・教育活動を行った。
  • 2013年10月 - 2013年10月
    2013年10月9日から同月19日まで、ハイデマリー・ケムニッツ教授(ブラウンシュヴァイク大学)を迎え、共同研究・教育活動を行った。
  • 2013年10月 - 2013年10月
    2013年10月9日から同月19日まで、クラウス・ペーター・ホルン教授(ゲッティンゲン大学)を招き、ドイツ教育学の歴史に関する講演を行っていただいた(通訳および司会は山名淳が担当)。
  • 2012年10月 - 2012年10月
    2012年10月17日、ディーター・シュルツ教授(ドレスデン大学)を招いて、原子力時代の倫理と教育の問題について講演を行っていただいた。講演の通訳および司会は山名淳が担当した。
  • 2011年9月 - 2011年9月
    日本学術振興会外国人招へい研究者(短期)の枠で、2011年9月7日から同年11月5日まで、ローター・ヴィガー教授(ドルトムント工科大学)を招いて、教育哲学に関する共同研究・教育活動を推進した。
  • 2006年10月 - 2006年10月
    日本学術振興会外国人招へい研究者(短期)の枠で、2006年10月12日から同年11月15日まで、クラウス・ペーター・ホルン教授(テュービンゲン大学)を招いて、教育学に関する協同研究・教育活動を推進した。