2021年4月 - 2023年3月
遅筋に発現する新規アセチルコリン受容体の筋収縮制御における機能の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
脊椎動物の運動機能の制御においては運動神経と骨格筋のシナプス部である神経筋接合部が極めて重要な機能を担う。これまでにゼブラフィッシュを用いた研究から、遅筋線維が従来知られていたものとは異なるセブユニット構成のアセチルコリン受容体(AChR)を発現することが明らかとなった。この新規型AChRの機能には未解明な点が多く残されている。本研究ではこの新規AChRの生理学的機能を明らかにすることを目的としている。
昨年度までにまず発現系を用いた実験により、新規型AChRの性質を解析した。新規型AChRがイオンチャネル型受容体であることからイオン透過性に着目し、実験を行った。イオン透過路のアミノ酸配列から新規型と従来型のAChRはカルシウム透過性に違いがあると考え解析した結果、従来型がほとんどカルシウムを透過しないのに対し、新規型AChRが比較的高いカルシウム透過性を示すことが示唆された。また、新規型AChRが示すこの性質はイオン透過路のアミノ酸配列を従来型に変えることで喪失されることも明らかとなった。新規型AChRがカルシウム透過性を示すことを示したのは本研究の結果が初めてであり、筋収縮制御機構の理解を深めるうえで重要な結果と考えられる。
この結果を踏まえ、新規型AChRのカルシウム透過性が生理学的にどのような意義をもつのかを調べるため、新規型AChRのカルシウム透過性を喪失させた遺伝子改変ゼブラフィッシュを作製し、骨格筋の活動および遊泳への影響を解析することとした。筋の活動を評価する目的でカルシウム応答性タンパク(GCaMP)を筋に発現する遺伝子改変系統の作製に成功した。また、新規型AChRのカルシウム透過性を喪失した遺伝子改変系統の作出にも成功した。今後この系統を用いて運動機能への影響を解析する。
昨年度までにまず発現系を用いた実験により、新規型AChRの性質を解析した。新規型AChRがイオンチャネル型受容体であることからイオン透過性に着目し、実験を行った。イオン透過路のアミノ酸配列から新規型と従来型のAChRはカルシウム透過性に違いがあると考え解析した結果、従来型がほとんどカルシウムを透過しないのに対し、新規型AChRが比較的高いカルシウム透過性を示すことが示唆された。また、新規型AChRが示すこの性質はイオン透過路のアミノ酸配列を従来型に変えることで喪失されることも明らかとなった。新規型AChRがカルシウム透過性を示すことを示したのは本研究の結果が初めてであり、筋収縮制御機構の理解を深めるうえで重要な結果と考えられる。
この結果を踏まえ、新規型AChRのカルシウム透過性が生理学的にどのような意義をもつのかを調べるため、新規型AChRのカルシウム透過性を喪失させた遺伝子改変ゼブラフィッシュを作製し、骨格筋の活動および遊泳への影響を解析することとした。筋の活動を評価する目的でカルシウム応答性タンパク(GCaMP)を筋に発現する遺伝子改変系統の作製に成功した。また、新規型AChRのカルシウム透過性を喪失した遺伝子改変系統の作出にも成功した。今後この系統を用いて運動機能への影響を解析する。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K15138
- 体系的課題番号 : JP21K15138