2013年12月15日
QOL調査に基づいた機能再建の治療戦略―腹直筋移植による胸鎖乳突筋動的再建―
日本口腔腫よう学会誌
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- 巻
- 25
- 号
- 4
- 開始ページ
- 185
- 終了ページ
- 190
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.5843/jsot.25.185
- 出版者・発行元
- Japanese Society of Oral Oncology
遊離皮弁を用いた口腔悪性腫瘍切除後即時再建患者26例のワシントン大学QOL評価を行った先行研究の結果,悪化したまま改善しないものは,「嚥下」,「会話」,「肩」,「味」であった。さらに,41例で「肩」項目のみ評価したところ,頸部廓清の際に胸鎖乳突筋が切除された群が温存された群よりも優位にQOLが低下していた。この結果に基づき,胸鎖乳突筋が切除された6例に対して胸鎖乳突筋動的再建術を施行した。<br>移植組織としては,遊離腹直筋皮弁を用いた。6例の原発部位は舌が5例,頰粘膜が1例で,全例術後に放射線治療を行った。筋弁は適度な緊張を与えて胸鎖乳突筋切除断端に縫合固定し,神経刺激で移植筋に最も良好な運動刺激があることを確認した1本の肋間神経を,副神経の断端に端々吻合した。全6例が評価できた術後6か月ではQOLの「肩」の値は,切除された群と比較して改善は見られなかった。原因としては,移植筋が十分に機能しなかったこと,もしくは,そもそも胸鎖乳突筋自体が肩機能において重要な因子ではないことが考えられる。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.5843/jsot.25.185
- ISSN : 0915-5988
- J-Global ID : 201402223635915340
- CiNii Articles ID : 130003397143