Oct, 2017
下垂体後葉の前方に腫瘤性病変を認めXanthomatous hypophysitisが疑われた1例
日本内分泌学会雑誌
- Volume
- 93
- Number
- Suppl.HPT
- First page
- 101
- Last page
- 103
- Language
- Japanese
- Publishing type
- Publisher
- (一社)日本内分泌学会
65歳女。食欲低下、倦怠感を主訴とした。MRIで下垂体後葉の前方に8mm大の境界明瞭、低信号域の腫瘤様陰影を認め、ホルモン基礎値と負荷試験の結果から中枢性甲状腺低下症、中枢性性腺機能低下症、重症成人成長ホルモン分泌不全症、高PRL血症と診断した。画像上、下垂体の病変は後葉の前方に位置していたが、尿崩症は認めなかった。腫瘍性病変が否定できないため、経蝶形骨洞的下垂体手術を施行した。手術時、下垂体硬膜は非常に厚く線維化し、下垂体後葉の前方に白色調の線維に富む腫瘤を認め摘出した。病理組織学的に切除した病変部は線維化に富み、正常下垂体前葉にCD68陽性の泡沫状の組織球浸潤を認め、Xanthomatous hypophysitisが疑われた。CD1a、S-100、Grocotto、Ziehl-Neelsenは陰性で、Ki-67は1%未満であった。術後に頭痛が出現し、CTにて気脳症を認めたため髄液漏閉鎖術を行った。術後の負荷試験では成長ホルモン分泌低下のみを認め、中枢性甲状腺機能低下症、高PRL血症は改善していた。
- ID information
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- ISSN : 0029-0661
- eISSN : 2186-506X
- Ichushi Web ID : 2018069935