共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

拡張身体を基点とした空間知覚の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K20147
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

認知心理学,および,バーチャルリアリティ(VR)やロボティクスの分野で,人が物理的な身体の制約を超えて,自分の身体の認識や機能を拡張することのできる身体拡張の研究が進展している。しかし,身体拡張の成立要因や,その応用技術の研究が盛んである一方で,身体拡張が可能となった後に,拡張身体を通じてアクションを行う我々の認知がどのように変化するのかという点についてはまだ十分な研究が行われていない。本研究では特に,観察者自身の運動と連動して動く全身のバーチャル身体(アバター)に対して自分の身体であるという認識を持つ「三人称視点で観察する全身のバーチャル身体に対する身体拡張」に着目し,通常は自己身体中心座標に基づく空間知覚が,拡張身体を中心とした空間知覚へと変化する可能性について基礎心理学的観点から検討を行うことを目的とする。令和2年度は,1 バーチャル空間で単純な方向判断を伴う新しい視点変換タスクを用いた,人型アバタへの視点変換時の認知特性に関する基礎的な行動データを取得するための実験,2バーチャル身体への自己身体化(embodiment)を視触覚のクロスモダリティタスクによって評価する実験を行った。結果,1. 人型アバタの存在は非生物のオブジェクトが提示される場合よりも視点変換の効率性を促進し,それは人型アバタが一般的な注意を集めるという,顕著性による効果ではなく,アバタの身体および視線方向やアバタ身体の人らしさが重要であること,2. バーチャル身体の種類によって自己身体認識の主観的評価(身体所有感や行為主体感)とクロスモダリティタスクとの関連が異なる可能性が示された。

ID情報
  • 課題番号 : 20K20147