共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

記憶の修正を司るドーパミン受容体とその脳回路

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K16882
体系的課題番号
JP19K16882
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

過去の経験に応じて記憶を形成することは重要であり、その神経メカニズムはよく研究されてきた(Waddell, Curr. Biol. 2016) 。一方で、記憶と現実にズレが見つかった場合は、過去の記憶を修正し、現実に即して行動することもまた重要である。しかし、記憶の修正を司る神経回路に関しては不明な点が多い。
ほ乳類では、報酬と連合された刺激に脳内ドーパミンニューロンが応答し、記憶の修正にも関与することが知られている (Schultz, Annu. Rev. Psychol. 2006) 。ほ乳類と昆虫の連合学習におけるドーパミン系の重要性を鑑みて、申請者は、昆虫でもドーパミン系が記憶の修正に寄与する、との仮説を立てて検証を行った。予備的な実験の結果、野生型のハエではスクロースと結びつける訓練を行った匂いとコントロールの匂いの選択テストにおいて、テスト開始時にはスクロースと結びつける訓練を行った匂いを選択する個体が多いものの時間経過とともにその割合は減少した。一方、D2Rドーパミン受容体変異体は野生個体に比べてスクロースと連合した匂いの選択が持続していた。本結果は記憶の修正機能の破綻を示唆する。
記憶の修正におけるドーパミンシグナルの重要性は明らかであるものの、それを司る脳回路はいまだ不明である。そこで申請者は【記憶の修正は、脳内のどのような回路で制御されるか?】を調べる本計画を立案した。2019年度はドーパミン受容体が記憶の修正に関与する可能性について、予備データが得られたD2Rに限らず、ショウジョウバエが有するドーパミン受容体4種類について網羅的な検証を行った。具体的には、ゲノムからドーパミン受容体を欠損した変異体を用いた行動実験を行った。結果、D2R以外に1種類のドーパミン受容体が記憶の修正に関与することを示唆する結果を得た。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K16882
ID情報
  • 課題番号 : 19K16882
  • 体系的課題番号 : JP19K16882