論文

2010年12月

初めて子どもを育てる夫婦の産後3ヵ月までの相互作用

お茶の水医学雑誌
  • 塩野 悦子

58
3-4
開始ページ
107
終了ページ
117
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
お茶の水医学会

本研究では、初めて子どもを育てる夫婦の産後3ヵ月までの相互作用の特性を明らかにして、夫婦への看護支援に示唆を得るために、夫婦33組への半構造的面接から質的帰納法を用いて結果を導いた。子どもとの生活が始まると、夫婦の間には【父親と母親の違い】が生まれる。父親は《子どもに対してできることの違い》を、母親は《子どもの世話による負担の偏り》を実感する。夫婦はこれらの父親と母親の違いをめぐって働きかけている。母親は【父親による子どもの世話のゲートキーピング】を行い、子どもの世話へのゲートを開け、父親の参入に促進的に働きかけることもあれば、その参入を阻むこともある。父親は【母親のストレスに対する思いやりの供給】を行い、母親のストレス発散のゲートを開け、母親のストレスを軽減することもあれば助長することもある。どのように父親が母親に思いやりを示すかが、母親のストレスを左右する。これらの結果から、夫婦の相互作用を視野に入れた場合、産後の夫婦の間には"子どもの世話のゲート"と"ストレス発散のゲート"の2つのゲートがあることを示し、妊娠期から予期的に夫婦に対して働きかけることが看護支援として有効かもしれないことが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0472-4674
  • 医中誌Web ID : 2011075056

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