論文

2021年10月

保育園児から分離された肺炎球菌の薬剤感受性、血清型推移について

日本小児科医会会報
  • 和田 紀之
  • 黒澤 サト子
  • 泉田 直己
  • 萩原 温久
  • 菅谷 明則
  • 牧野 郁夫
  • 沼口 俊介
  • 竹内 典子
  • 竹下 健一
  • 大楠 美佐子
  • 石和田 稔彦
  • 村谷 哲郎
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62
開始ページ
235
終了ページ
240
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本小児科医会

肺炎球菌結合型ワクチンが保育園児の上咽頭保菌に与える影響、水平伝播の状況について調査する目的で、2017〜2019年度、足立区(3ヶ所)と国分寺市(1ヶ所)の保育園の年3回の保菌調査で、分離された肺炎球菌の血清型・薬剤感受性について調査を行った。2017年度、2018年度、2019年度の肺炎球菌分離株数は55株、69株、60株(うち1検体から2つの血清型株分離)であった。年度ごとの肺炎球菌分離率は、64〜67%と大きな違いは認めなかった。13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)含有血清型は、2017年度2株、2019年度1株で、いずれも血清型3であった。PCV13非含有血清型である15Aは2017年度、2018年度に多く、また、無莢膜株が2018年度に多く分離された。2019年度は10Aと34、35Bが増加していた。保育園の中では、年度により同じ血清型が多数分離される傾向があり、水平伝播が示唆された。PCG MIC≧2μg/mLの株は、15株あり、血清型15A(5株)、35B(3株)、10A(4株)、無莢膜株(3株)であった。同一の児から年複数回分離された血清型は7種類あり、そのうち34、10A、23Bは年間を通じて検出されていた。1〜3回目の採取時における肺炎球菌の有無と同胞の有無との関連について解析したところ、1、2回目は有意な関連が認められた。肺炎球菌の上咽頭への無症候性定着が侵襲性感染症の発症契機となること、今後、新しく開発された肺炎球菌結合型ワクチンの効果を予測する上においても、保菌調査による継続的な監視が必要である。(著者抄録)

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ID情報
  • ISSN : 0912-1781
  • eISSN : 2435-9270
  • 医中誌Web ID : W725360054

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