共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

肺炎球菌ワクチン導入後、ワクチン不応株感染症増加を招いた細菌側・宿主側因子の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K10097
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

1.千葉県内を中心に、小児侵襲性肺炎球菌感染症症例から分離された肺炎球菌株について血清型解析を継続的に実施した。2018年分離株は全て13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)非含有血清型であった。2017年に急増していた血清型12Fは減少していた。数種類の遺伝子解析方法:Multilocus sequence typing(MLST)・pulse field gel electrophoresis (PFGE)・multilocus variable-number tandem-repeat analysis(MLVA)を用いて検討したところ、流行していた12F型は類縁性の高い株のアウトブレイクと考えられ、MLVAが最も解析に優れていた。この結果をまとめて、現在、論文投稿中である。
2.保育園児の上咽頭保菌調査も継続的に実施した。2018年の保菌株に関しても、PCV13接種回数に関わらず、全てPCV13非含有血清型となっており、その主体は、血清型15A、35Bなどの多剤耐性傾向のある血清型であった。血清型12Fを保菌している者はいなかった。また、多剤耐性傾向があり、バイオフィルム産生能が高い無莢膜株も分離され、同一の遺伝子型株が同一保育園に通う小児から分離されたことから水平伝播している可能性が示唆された。このデータに関して、論文公表を行った。なお、1人の保育園児から、PCV13含有血清型を含む複数の肺炎球菌血清型が分離されるかどうかについて検討を行ったが、基本的には1種類の血清型のみが認められた。
3.血清抗体価測定に関しては、小児無脾症患者検体を用いて検証し、無脾症患者は同じ年齢層の健常小児に比較し、PCV13含有特異抗体価が低いことを明らかにした。この結果について国際学会で発表を行った。また、PCV13非含有血清型侵襲性肺炎球菌感染症症例の検体収集を行った。

ID情報
  • 課題番号 : 17K10097