論文

査読有り
2017年1月

Discrepancy between the national protocol and healthcare providers’ knowledge, attitude, and practice regarding induction and argumentation of labor with oxytocin in Cambodia

日本国際保健医療学会誌
  • 笹川 恵美
  • ,
  • ラタビー トゥン
  • ,
  • 堀越 洋一
  • ,
  • 竹原 健二
  • ,
  • 野口 真貴子
  • ,
  • 江上 由里子
  • ,
  • 小山内 泰代
  • ,
  • 北 潔
  • ,
  • 三砂 ちづる
  • ,
  • 松井 三明

31
4
開始ページ
289
終了ページ
298
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.11197/jaih.31.289
出版者・発行元
日本国際保健医療学会

<p>目的</p><p>  本研究は、カンボジアにおいて医師・助産師がオキシトシンをどのように捉え、利用しているかを、国家産科プロトコールのオキシトシン使用基準と比較し、knowledge(知識)、attitude(態度)、practice(実践)の観点から把握することを目的としている。</p><p>方法</p><p>  カンボジアの首都プノンペンにある国立の産科病院において、直接観察と個別インタビューによる質的研究を2013年1~2月に実施した。直接観察はオキシトシンを用いて陣痛誘発・促進された産婦を対象とし、オキシトシン使用開始から分娩終了までの観察を通じて、陣痛誘発・促進の適応や産婦の分娩経過、医師・助産師のオキシトシン使用管理方法を確認した。個別インタビューは、直接観察で得られた情報を補完し、医療従事者のオキシトシンの捉え方、意思決定プロセス、使用管理に関する知識を確認するため、分娩を担当した医師・助産師を対象に行った。</p><p>  結果</p><p>  調査期間中、産婦10名の分娩経過を直接観察し、医師3名、助産師9名に対して個別インタビューを行った。陣痛誘発・促進開始の判断根拠となった医療従事者の知識は、10名中9名の産婦に対して妥当性があると評価できた。しかし、陣痛誘発・促進のためのオキシトシン使用管理については、国家産科プロトコールと医療従事者の知識・態度・実践との間に相違が見られた。例えば、医療従事者12名のうち、11名が陣痛誘発・促進方法について記載されている国家産科プロトコールを見たことがなく、正しい知識へのアクセスが限られていることが明らかとなった。また、分娩進行効果が認められる有効陣痛が発来している状態においても、「子宮口全開大後には点滴を増量しても問題ない」という誤った認識が広がっていることも分かった。臨床においては、オキシトシン点滴静脈注射の初回投与量は統一されておらず、最大投与量(安全限界)を越えた過剰投与も確認された。また、6名の産婦に対し、オキシトシン点滴開始後2時間以上、モニタリングがなされていなかった。</p><p>結論</p><p>  本調査を通じ、陣痛誘発・促進を目的としたオキシトシン点滴管理に関する国家産科プロトコールと、医療従事者の知識・態度・実際の使用方法との間に大きなギャップが確認された。出産の安全性を確保し、治療効果を最大限とするために、国家産科プロトコールの普及とオキシトシン管理に関する研修の充実の必要性が示唆された。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11197/jaih.31.289
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005302831
ID情報
  • DOI : 10.11197/jaih.31.289
  • CiNii Articles ID : 130005302831

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