ヒューマンファクター工学で代表とされるSHELモデルをもとに、医療への応用を目的に開発された医療事故分析モデルであるP-mSHELLモデルを用いて、臨地実習におけるヒヤリ・ハット事例を教材として捉え、学生と教員が共に振り返ることのできるインシデント報告書に改定する試みを行った。学生(当事者)の要因を把握するだけなく、発生要因を網羅的に把握することを目指し項目を設定したことで、指導する教員と学生が発生要因を体系的に検討し、インシデントを振り返るとともに学科全体でインシデントへの対応について検討することが可能となることが期待でき新書式が確認された。新書式の運用にあたっては、インシデントに対する学生の内省を促しつつ、報告によっては多くの学生が教訓をえらえることを実習オリエンテーションや講義で周知する必要があると考えられた。また、今後、インシデント報告書を通して、教員もインシデント分析技術を習得することも求められると推測された。