65歳男。当科受診の5年ほど前からオトガイ部の腫脹があり増大傾向を認めていた。2ヵ月ほど前から唾液に血が混じるようになり、精査目的で紹介受診した。オトガイ部に手拳大の腫瘤を認め、生検でエナメル上皮腫と診断した。手術方法の選択にあたり術後の追加治療や頻回な外来受診は困難と考え、単回の手術で完結する術式を選択した。周術期は術前から精神科と連携し、閉鎖病棟での管理協力を得た。術後は創部へのドレーン挿入や経管栄養などについて安全面を考慮し鎮静下での管理とし、創部の安定状態を確認のうえ5日目に解除とした。解除後は早期離床を目的にリハビリテーションを行った。創部を閉鎖創としたことで経口摂取再開後の清掃性に問題はなく、入院前と変わらないADLで退院となった。当初危惧された術後の精神状態悪化はなかった。