論文

2013年

流出・氾濫モデルと避難モデルの統合による大阪市の広域避難に関する一考察

水文・水資源学会研究発表会要旨集
  • 小林 健一郎
  • ,
  • 寶 馨
  • ,
  • 中北 英一

26
開始ページ
230
終了ページ
230
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11520/jshwr.26.0.230.0
出版者・発行元
水文・水資源学会

小林らは淀川流域を対象とした分布型降雨流出・洪水氾濫モデルを開発した.この分布型モデルにより流域の流出・浸水過程,及び河道の水位・流量計算を基本的には一体的にシミュレーションできる素地ができた.一方,こうした流出・氾濫モデルを防災目的に使用する場合,精度の良い物理計算が可能であることが第一義的には重要であるが,これと同時に,経済被害推定モデルや避難モデルなどに物理計算結果を簡単に移行できることが望ましい.近年の地理情報システムGIS(Geographic Information System)の発展により,GISにより適切に座標系を設定したモデルを開発すればこれが可能となる.本稿では特に避難モデルと流出・氾濫モデルを座標変換を通じて結合し,大阪市の特に広域避難について考察した事例を示す.より具体的には世界測地系UTM53系で定義された淀川流出・氾濫モデルによる大阪市の浸水計算結果を,世界測地系平面直角座標系第6系で定義された避難行動モデルに移行し,それによる避難行動数値実験を実施する.UTM53系は,東日本,西日本程度のスケールを対象とするのに適した投影座標系である.他方,平面直角座標系第6系は市町村単位を対象にするのに適している.淀川流域は6府県にまたがっており,避難行動は基本的には市町村単位を基本とするため,このように設定している.避難行動を誘発する枚方地点の河道水位計算,大阪市の浸水計算は,広域の避難行動を考えるため,紀伊半島豪雨を100km北の淀川流域方向に移動した仮想豪雨により実施する.これにより,非常に極端な思考実験ではあるが、河川洪水において,津波避難と同じような状況が起こることを示す.水文モデルである流出・氾濫モデルと,人間行動(避難や被害推定)を検討出来るモデルを統合することにより,検討できる事象の幅が広がっていく.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11520/jshwr.26.0.230.0
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005050944
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/10032062112?from=CiNii
ID情報
  • DOI : 10.11520/jshwr.26.0.230.0
  • CiNii Articles ID : 130005050944

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