2020年8月
【胆膵疾患の最新画像診断】超偏極13C-MRIを用いた膵癌に対するLDH阻害治療効果の動的な可視化
胆と膵
- 巻
- 41
- 号
- 8
- 開始ページ
- 751
- 終了ページ
- 756
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 医学図書出版(株)
超偏極13C-MRIは、生体組織内のピルビン酸代謝の"様子"をviableな状態で可視化できる新しい生体分子イメージングである。さらに、画像データから組織中の乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH)活性を数値化して理解できる。われわれは、超偏極13C-MRIを用いた膵癌に対するLDH阻害治療法の確立をめざして、この医用画像をヒト膵癌の担癌マウスモデルに応用した。担癌マウスに対して超偏極13C-MRIを撮像し、癌組織内でのLDHによるピルビン酸代謝について観察したところ、この腫瘍内でLDH活性が亢進していることがわかった。そこで、LDH阻害による治療が可能かを調べるために同じマウスに新規開発されたLDH阻害剤を投与して再度撮像した結果、癌組織中のLDH活性が著明に低下する様子が可視化できた。さらに、同薬剤を担癌マウスに複数回投与したところ、治療群では腫瘍増殖速度が有意に低下した。超偏極13C-MRIによってLDH活性を可視化することで、膵癌に対する新しい代謝阻害治療の開発につながることが期待される。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0388-9408
- ISBN : 9784865173833
- 医中誌Web ID : 2021009800