2021年7月
ニューロエストロゲンは雌マウスの食欲を抑制する
日本女性医学学会雑誌
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- 巻
- 28
- 号
- 4
- 開始ページ
- 548
- 終了ページ
- 553
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (一社)日本女性医学学会
エストロゲンにはさまざまな生理作用があり、食欲抑制はそのなかの一つである。近年、神経細胞内で生合成されるエストロゲン(ニューロエストロゲン)がさまざまな生理作用を持っていることが明らかになってきた。しかし、このニューロエストロゲンと食欲の関係は不明である。ニューロエストロゲンの食欲に対する作用を明らかにするため、卵巣切除したマウス(OVX)を作製して卵巣から分泌されるエストロゲンの影響を排除し、食欲とニューロエストロゲンの関係について検討した。その結果、OVXでは視床下部でのアロマターゼ発現量が増加し、食餌量は低下した。一方でOVXにアロマターゼ阻害薬(レトロゾール)を投与すると食餌量は増加した。このとき、視床下部での食欲抑制ペプチドPOMCの減少、食欲亢進ペプチドNpyの増加が観察された。さらに、アロマターゼを発現させたマウス由来視床下部神経細胞N38(TG)を用い、in vitroでエストロゲン、テストステロンを加えて検討した結果、N38(TG)によって合成されたエストロゲンによりPOMCの受容体であるMC4Rや、レプチン受容体が増加した。本研究では、卵巣から分泌されるエストロゲンではなく、ニューロエストロゲンによって食欲がコントロールされている可能性を示す。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2185-8861
- 医中誌Web ID : 2022001450