共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2022年3月

トンガ語幼児発話コーパス構築と母語獲得研究への活用及び少数言語継承への影響の考察

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
19K21634
体系的課題番号
JP19K21634
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

トンガ語(オーストロネシア諸語)は、基本語順がVSOである(日本語に直訳すると「読んだ花子が本を」の順)、目的格を持たず他動詞の主語が特別な格を持つ(直訳すると「花子に本が読んだ」のような形)など、類型論的に珍しい統語上の特徴を持つ。母語獲得の分野でこうした特徴を持つ言語を対象とした先行研究は限られており、従来構築されてきた仮説がこれらの言語によっても立証されるか否かに関心が集まっている。特にトンガ語に関しては自然発話データを基にした研究は未だ例を見ない。本研究の目的は、まず、こうした研究の根拠となるトンガ語の幼児発話コーパスを構築すること、次に、構築したコーパスを用いて母語獲得研究の仮説を検証することにある。トンガ社会では近年、英語の影響によって言語移行が起きつつあることが懸念されることを踏まえると、本研究は言語維持の観点からも重要な役割を果たすことが期待される。
初年度は、現地協力者(トンガ教育訓練省幼児教育課職員)との話し合いを踏まえて今後の研究計画の見直しと詳細の調整を行い、来年度以降の研究活動の基盤作りに努めた。研究対象者は、両親がモノリンガルのトンガ語話者で、日常的に英語に触れることのない環境にあることを条件としているが、首都のあるトンガタプ島ではそのような家庭を見つけることは困難であり、離島在住の家庭を探す必要があることが指摘された。漠然と懸念していたトンガ語の脆弱化が現実としてつきつけられた形となり、このことを受け、限られた期間内でより充実したデータ(特に子供の発話データ)を収集・分析するために、録画開始年齢を子供自身の発話がほとんどない1歳半ではなく、2歳半ないしは3歳程度に変更することも決定した。現地協力者の尽力で対象家庭と離島におけるリサーチアシスタントの選考も済み、次回フィールドワークで研修の実施と録画を開始する準備を整えることができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K21634
ID情報
  • 課題番号 : 19K21634
  • 体系的課題番号 : JP19K21634

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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