共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年 - 2011年

メタロチオネイン-3を基軸とした筋萎縮性側索硬化症の新規治療薬開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
10J06389
体系的課題番号
JP10J06389
配分額
(総額)
1,400,000円
(直接経費)
1,400,000円

本研究員は、昨年度、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスを用いた遺伝子治療研究において、メタロチオネイン-3(MT-3)がALS発症時からの治療に効果を有することを示した。本年度MT-3をターゲットとしたALS治療法確立のため、MT-3発現誘導メカニズムを明らかにする目的で本研究に取り組んだ。
MT-3転写機構は、未だ十分に解明されていない。既報告において、脂肪細胞においてMT-3の誘導が報告されており、前駆脂肪細胞の一つである初代マウス胎児線維芽細胞(MEF)を用い、MT-3転写機構の検討を行った。MEFを用いた検討において、デキサメタゾンによりMT-3のmRNAおよびタンパク質発現量が増加すること、継代数の増加に伴い刺激反応性が低下することを見出した。インスリン、IBMX、インドメタシン刺激では発現が低下した。
MT-3は、これまで低酸素負荷条件下の脂肪細胞、HADC inhibitorを添加した癌細胞へのCd等の重金属添加においてのみ、mRNA発現上昇が報告されている。また、MT-3遺伝子の上流にはMREやGREが報告されてきた。
これらから、MT-3の上流のシスエレメントが細胞分化・老化によりエピジェネティックな修飾を受けることで、MT-3転写が恒常的に抑制されている可能性が示唆された。
今後、これら検討に基づくMT-3発現誘導剤の開発により、誘導が困難であった中枢神経領域におけるMT-3の発現、それによるALSを始めとする神経変性疾患の治療研究が進展すると考える。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J06389
ID情報
  • 課題番号 : 10J06389
  • 体系的課題番号 : JP10J06389