2020年3月
松山市の学校健診における成長曲線の有用性についての検討
愛媛県小児科医会雑誌
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- 巻
- 1
- 号
- 開始ページ
- 35
- 終了ページ
- 39
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 愛媛県小児科医会
学校保健安全法施行規則の一部改正により、平成28年度から学校健診に成長曲線が導入された。今回、我々は平成28年度に松山市立の全小中学校に在籍した小中学生39027名を対象に、成長曲線作成用ソフト「子供の健康管理プログラム」を用いて特に注意が必要とされる異常カテゴリー群(以下Cと略す)、C2(身長増加過多:過去の身長の最小値に比べて最新値が1Zスコア以上大きい)、C4(身長増加不良:過去の身長の最大値に比べて最新値が1Zスコア以上小さい)、C5(極端な低身長:身長の最新値が-2.5Zスコア以下)を抽出して有用性を検討し、成長曲線健診の方法を立案した。C2として抽出されたのは1035名、C4またはC5として抽出されたのは1337名であった。これらの成長曲線を目視することで、医療機関の受診勧奨が必要な児童生徒を見出すことができたが、抽出者の数が非常に多いこと、C2とC4の抽出者の中に偽陽性者が多数含まれること、成長曲線の目視による判定は小児科医でないと難しいことなどの理由から、松山市では、抽出された成長曲線を小児科医が判定して専門医への受診を勧奨する方式を取ることにした。さらに、効率よく健診を行うための方法を検討し、C2は小学6年生女子と中学生を抽出対象から外すことにした。C4は最新の身長が低身長基準値より高いものは抽出対象から除くことにした。この方法により、C2の抽出者を263名に、C4またはC5の抽出者を718名に減らすことができた。我々が立案した方法は、抽出された児童生徒の成長曲線を小児科医が判断して受診勧告を行うもので、養護教諭と学校医の負担が少なく、また人口が約51万の松山市でも実施可能な方法であることから、中核都市で行う場合のモデルとなると思われる。(著者抄録)
- ID情報
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- 医中誌Web ID : 2020262683