NQR測定法を用いたバーネット効果と回転ドップラー効果の観測
日本物理学会2015年秋季大会(物性)
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- 開催年月日
- 2015年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 吹田
- 国・地域
- 日本
回転する物体内部の粒子に作用する有効磁場(バーネット磁場)と、信号検出器(コイル)と回転する試料との相対運動によって生じる回転ドップラー効果を核四重極共鳴(NQR)法を用いて測定した結果について報告する。核四重極共鳴とは、核スピンI=1以上の原子核がもつ電気四重極能率と、核周辺の電荷が作る電場勾配との相互作用によって分裂した核スピンのエネルギー準位を用いた共鳴手法であり、このため外部磁場は不要である。我々はこれまでに、新規開発した回転コイル法を用いた核磁気共鳴(NMR)法によってバーネット磁場と回転ドップラー効果を観測したが、それぞれの回転に対する応答はNMR共鳴線のシフトとして観測され、シフトの大きさは回転数と同じであるために、一見すると異なる現象のようには見えにくい。今回採用したNQR法では四重極相互作用にバーネット磁場によるゼーマン相互作用が摂動として作用し、その結果、試料の回転運動によって共鳴線は複数に分裂する。一方、回転ドップラー効果によっても共鳴線は分裂するが、バーネット磁場による分裂とは異なる。試料そのものの回転の有無、相対運動の有無で実験セットアップを分類し、計4種類の回転自由度で実験を行った。NQR測定は単結晶NaClO$_3$の$^{35}$Clに対して行った。試料とコイルの相対運動のみがある場合は、回転ドップラー効果によって共鳴線は二つに分裂する。試料とコイルを同時に回転するセットアップでは相対運動はなく、バーネット効果のみが有効であり、磁場に相当する共鳴線の分裂が観測される。試料のみを回転させた場合は試料回転があると同時にコイルとの相対運動も存在しているため、バーネット効果とドップラー効果の両方が有効である。この場合、NQR信号の分裂はバーネット効果で分裂した共鳴線にドップラー効果によるシフトを考慮することで説明される。