2021年4月 - 2023年3月
ドーパント分布を制御したプラズモニック化合物ナノ粒子による新規光電変換素子の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
プラズモン共鳴(LSPR)を示す化合物ナノ粒子や、半導体量子ドットは、太陽光エネルギーの約半分を占める赤外光を利用できる次世代の光機能材料として注目されている。これらは、格子欠陥やドーピング元素に応じて、可視から赤外領域で光吸収を制御できる。しかし、液相化学合成法では、格子欠陥やドーパントの分布が不均一な状態で得られることが多い。そのため、高効率な光電変換素子の開発に向けて、光化学特性を精密に制御可能な粒子の合成及び分離手法の確立が必須である。そこで本年度は、下記2点について研究に取り組んだ。
①近赤外領域に光吸収を有し、低毒性元素で構成されるAg-Bi-S量子ドットの液相化学合成法を開発し、粒径・組成の変調による光化学特性の制御を検討した。反応温度と前駆体の仕込み組成を変化させることで、粒径2~8 nmの粒子合成に成功した。吸収端は粒径増大に応じて長波長シフトし、バンドギャップは 1.45 eVから1.05 eVに減少した。伝導帯準位はほぼ一定であったが、価電子帯準位は負電位側にシフトした。Ag-Bi-SをITO電極に担持して光電気化学測定を行うと、カソード及びアノード光電流の両方が検出され、その割合は粒子組成に応じて変化した。光電流の立ち上がり電位が各々の準位とは異なる値を示したことから、欠陥サイトの存在が示唆された。
②当研究室で見出した、Auナノ粒子のLSPRを用いた光トラッピングと薄層クロマトグラフィー(TLC)を組み合わせたサイズ選択的分離手法(プラズモンTLC)の高性能化を検討した。LSPR増強電場により生じる引力は、粒子の分極率に依存し、さらに分極率は粒子の体積に依存することから、展開する量子ドットの形状に依存せず、体積に応じた量子ドットの捕捉を確認できた。また、Auナノ粒子と量子ドット間の共鳴・非共鳴を利用し、光学特性の異なる量子ドットの精密分離にも成功した。
①近赤外領域に光吸収を有し、低毒性元素で構成されるAg-Bi-S量子ドットの液相化学合成法を開発し、粒径・組成の変調による光化学特性の制御を検討した。反応温度と前駆体の仕込み組成を変化させることで、粒径2~8 nmの粒子合成に成功した。吸収端は粒径増大に応じて長波長シフトし、バンドギャップは 1.45 eVから1.05 eVに減少した。伝導帯準位はほぼ一定であったが、価電子帯準位は負電位側にシフトした。Ag-Bi-SをITO電極に担持して光電気化学測定を行うと、カソード及びアノード光電流の両方が検出され、その割合は粒子組成に応じて変化した。光電流の立ち上がり電位が各々の準位とは異なる値を示したことから、欠陥サイトの存在が示唆された。
②当研究室で見出した、Auナノ粒子のLSPRを用いた光トラッピングと薄層クロマトグラフィー(TLC)を組み合わせたサイズ選択的分離手法(プラズモンTLC)の高性能化を検討した。LSPR増強電場により生じる引力は、粒子の分極率に依存し、さらに分極率は粒子の体積に依存することから、展開する量子ドットの形状に依存せず、体積に応じた量子ドットの捕捉を確認できた。また、Auナノ粒子と量子ドット間の共鳴・非共鳴を利用し、光学特性の異なる量子ドットの精密分離にも成功した。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K14703
- 体系的課題番号 : JP21K14703
この研究課題の成果一覧
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受賞
2論文
6-
Nanoscale Advances 5(24) 7057-7066 2023年11月14日 査読有り
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The Journal of Chemical Physics 158(16) 164708 2023年4月28日 査読有り招待有り
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Physical Chemistry Chemical Physics 24(39) 24335-24344 2022年9月30日 査読有り筆頭著者
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NPG Asia Materials 14(1) 64 2022年7月22日 査読有り
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RSC Advances 10(48) 28516-28522 2020年8月3日 査読有り筆頭著者
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Journal of Chemical Physics 153(1) 014701 2020年7月7日 査読有り
MISC
4-
光化学 = Photochemistry : 光化学協会会誌 53(1) 33-36 2022年4月 招待有り筆頭著者
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ECS Meeting Abstracts prime2020 MA2020-02(59) 2962-2962 2020年11月23日 筆頭著者
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ECS Meeting Abstracts prime2020 MA2020-02(61) 3118-3118 2020年11月23日
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名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー ニュース (VBL News) No.49 25(1) 4 2020年8月1日 筆頭著者
講演・口頭発表等
40-
2023電気化学秋季大会 2023年9月11日
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2023年光化学討論会 2023年9月5日
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2023年光化学討論会 2023年9月5日
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The 31st International Conference on Photochemistry (ICP2023) 2023年7月25日
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The 31st International Conference on Photochemistry (ICP2023) 2023年7月25日
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電気化学会 90周年記念講演 2023年6月28日
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ナノ学会 第21回大会 2023年5月12日
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ナノ学会 第21回大会 2023年5月11日
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電気化学会第90回大会 2023年3月27日
学術貢献活動
6メディア報道
4-
Chem-Station スポットライトリサーチ 第422回 2022年9月30日 インターネットメディア
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e.x.press Co., Ltd. Laser Focus World Japan 2022年7月28日 インターネットメディア
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名古屋大学・大阪大学・大阪公立大学 プレスリリース 2022年7月22日 インターネットメディア
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オプトロニクス社 OPTRONICS ONLINE 2022年7月22日 インターネットメディア